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HEALTH WORDS / 用語解説

免疫関連遺伝子

Immune-related genes

免疫関連遺伝子とは、生体の免疫系の構築、維持、および生体防御反応の調節に関与する一連の遺伝子群の総称である。1 ヒトゲノム中には多数の免疫関連遺伝子が存在し、自己と非自己の識別、病原体の排除、炎症応答の制御など、極めて多様な生体防御機構において中心的な役割を果たしている。2

免疫関連遺伝子は、大別して自然免疫系に関与するものと獲得免疫系に関与するものに分類される。 自然免疫に関与する遺伝子群としては、病原体由来の特異的な分子パターンを認識するパターン認識受容体(PRR)や、Toll様受容体(TLR)をコードする遺伝子が挙げられる。3 これらの遺伝子は、細菌やウイルスなどの侵入を迅速に検出し、サイトカインやケモカインの産生を誘導することで初期の免疫応答を起動する。4

一方、獲得免疫に関与する遺伝子群には、T細胞受容体(TCR)やB細胞受容体(BCR)、および抗体を構成するポリペプチド鎖をコードする遺伝子が含まれる。5 これらの遺伝子は、体内でV(D)J組換えと呼ばれる特異的な遺伝子再構成を受けることによって、多様な抗原に対応可能な膨大なレパートリーを作り出す。6 また、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)をコードする遺伝子群(ヒトの場合はHLA遺伝子)も極めて重要であり、抗原提示を通じてT細胞による異物の認識において決定的な機能を担っている。7

近年では、次世代シーケンサー技術の進歩や網羅的なトランスクリプトーム解析の普及に伴い、様々な疾患における免疫関連遺伝子の発現変動が詳細に解析されている。8 特に、がん免疫療法の分野においては、腫瘍微小環境における免疫関連遺伝子の発現プロファイルが、免疫チェックポイント阻害剤などの薬剤に対する治療効果の予測バイオマーカーとして広く活用されている。9 さらに、自己免疫疾患やアレルギー疾患、感染症に対する宿主の感受性や病態の個人差を解明する上でも、免疫関連遺伝子の多型解析や機能解析は不可欠なアプローチとなっている。10

参考文献・出典

  1. GenCards: https://www.genecards.org/ ↩
  2. InnateDB: https://www.innatedb.com/ ↩
  3. National Center for Biotechnology Information: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK27155/ ↩
  4. Kyoto Encyclopedia of Genes and Genomes: https://www.kegg.jp/pathway/hsa04620 ↩
  5. National Center for Biotechnology Information: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK27144/ ↩
  6. Genome Research: https://genome.cshlp.org/content/19/11/1996.full ↩
  7. National Library of Medicine: https://medlineplus.gov/genetics/understanding/genomicresearch/hla/ ↩
  8. Nature Reviews Genetics: https://www.nature.com/articles/nrg3648 ↩
  9. Journal for ImmunoTherapy of Cancer: https://jitc.bmj.com/content/8/2/e001337 ↩
  10. Human Molecular Genetics: https://academic.oup.com/hmg/article/26/R2/R158/4083658 ↩