HEALTH WORDS / 用語解説
前枝
anterior branch
前枝とは、動物の神経系や血管系などの解剖学的な構造において、主幹から前方に向かって分岐する枝状の部分を指す用語である。1
ヒトの末梢神経系においては、脊髄から左右に発生する脊髄神経の腹側根から移行した混合神経である脊髄神経前枝を指すことが多く、体幹の前方部や四肢の筋肉および皮膚に分布して運動性と知覚性の神経支配を担う重要な役割を果たしている。2
脊髄神経は椎間孔を出た直後に前枝と後枝とに大きく二分されるという解剖学的な特徴を持っており、一般的に後枝と比較して前枝の方が太く発達する傾向にある。1
胸神経領域においては、前枝はそのまま肋間神経として肋骨の間を走行し、胸壁や腹壁の筋肉および皮膚へ神経線維を供給する構造になっている。2
これに対して、頚神経、腰神経、仙骨神経などの領域における前枝は、単独で走行するのではなく神経叢と呼ばれる複雑なネットワークを形成することが知られており、頚神経叢、腕神経叢、腰神経叢、仙骨神経叢などを構成して上肢や下肢へと向かう主要な末梢神経の源となる。1
また、神経系以外においても、動脈や静脈といった血管の分岐構造や、気管支などの管状器官の分岐を表現する際にも前枝という表現が用いられることがあり、それぞれ特定の解剖学的な領域へ血液や空気を供給する役割を担っている。2
参考文献・出典
- 解剖学用語和英漢字部局集: https://www.fujita-hu.ac.jp/~anatomy/AnatTerms/AnatTerms6.html ↩1 ↩2 ↩3
- 南山堂 医学大辞典: https://www.nanzando.com/ ↩1 ↩2 ↩3