HEALTH WORDS / 用語解説
南天
Nandina domestica
南天とは、メギ科ナンテン属に分類される常緑低木の植物である。1
ナンテン属は東アジアに分布し、日本には本州、四国、九州に自生しているほか、庭木や公園樹として広く栽培されている。1
樹高は一般的に数メートルに達し、葉は羽状複葉で互生する。冬には美しく紅葉することが知られており、古くから観賞植物として親しまれてきた。2
初夏から夏にかけて円錐花序を形成し、白く小さな花を多数咲かせる。花の後に形成される果実は球形の液果であり、秋から冬にかけて鮮やかな赤色に熟す。白実の品種も存在するが、一般的な野生種や栽培品種の多くは赤い実をつける。3
薬用植物としての南天は、その果実が南天実(なんてんじつ)という生薬として用いられることで知られている。南天実は、日本薬局方にも収載されている伝統的な生薬の一つである。4
薬理学的な成分としては、アルカロイドの一種であるドモルヒネ様作用や鎮咳作用を持つ成分が含まれており、古くから咳止めや喉の痛みの緩和を目的とした民間薬や漢方薬の配合生薬として利用されてきた。3
一方で、南天の葉や茎、果実には様々なアルカロイド成分が含まれており、その中にはシアン化水素を遊離する配糖体なども含まれているため、動物が多量に摂取した場合には中毒症状を引き起こすことがある点に注意が必要である。5
また、南天の葉には抗菌作用や防腐作用があるとされてきたため、弁当の仕切りや料理の添え物として利用される文化的背景も存在する。これは成分が持つ衛生管理上の知恵に基づいている。2
このように、南天は単なる園芸上の観賞価値にとどまらず、薬学や植物学の分野においても重要な研究対象および実用植物として位置づけられている。3
参考文献・出典
- 日本のレッドデータ検索システム:ナンテン: https://jpnrdb.com/search.php?mode=map&q=07060155095 ↩1 ↩2
- 林野庁:森林・林業学習館 特用林産物: https://www.rinya.maff.go.jp/j/tokuyou/gakusyuu/tokusan03.html ↩1 ↩2
- 東京都薬用植物園:南天: https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/yakuyou/tanbou/arekore/h28_12.html ↩1 ↩2 ↩3
- 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構:日本薬局方 南天実: https://www.pmda.go.jp/files/000216142.pdf ↩
- 農林水産省:うちの畜産どうぶつえん 有毒植物: https://www.maff.go.jp/j/syouan/ryoan/ikusei/pdf/poisonous_plants_01.pdf ↩