HEALTH WORDS / 用語解説
単鎖
Single strand
単鎖とは、核酸やタンパク質などの高分子が、分岐や相補的な他の鎖との結合を持たない1本の鎖状構造をとっている状態を指す用語である。1
生物学においてDNAは通常、2本のポリヌクレオチド鎖が二重らせんを形成しているが、熱変性や特定の酵素の作用などにより解離した状態や、ウイルスの一部に見られる形態として単鎖DNAが存在する。2
また、RNAについても多くは単鎖の構造を基本としており、mRNAやtRNAなどが該当する。3
RNAの単鎖分子は、自己相補的な塩基配列の間で部分的な塩基対を形成し、ヘアピン構造などの複雑な立体高次構造をとることで特異的な機能を発揮する。4
タンパク質の分野においては、ポリペプチド鎖が複数集まって複合体を形成するのではなく、1本のポリペプチド鎖のみで構成されているものを単鎖と呼ぶことがある。5
例えば、遺伝子工学的に作製される抗体の誘導体である単鎖可変断片(scFv)は、重鎖と軽鎖の可変領域を柔軟なリンカーペプチドで繋ぎ合わせた単鎖の構造を持ち、医薬品や研究用試薬として広く応用されている。6
このように単鎖という概念は、分子構造の基本的な形態を示すだけでなく、遺伝情報の伝達や生体防御メカニズムを理解する上でも極めて重要な基礎用語となっている。7
参考文献・出典
- 生命科学データベースプロジェクト: https://biosciencedbc.jp/ ↩
- 国立遺伝学研究所 遺伝学辞典: https://nig.ac.jp/ ↩
- 東京大学 大学院理学系研究科・理学部: https://www.s.u-tokyo.ac.jp/ ↩
- 京都大学 物質-細胞統合システム拠点: https://www.icems.kyoto-u.ac.jp/ ↩
- 分子生物学情報データベース: https://molbiol.jp/ ↩
- 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構: https://www.pmda.go.jp/ ↩
- 日本生化学会 生化学辞典: https://jbs.biochem.or.jp/ ↩