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HEALTH WORDS / 用語解説

単鎖DNA

Single-stranded DNA

単鎖DNAとは、通常の二本鎖DNA構造を形成しておらず、ヌクレオチドの単一の鎖からなる核酸の形態である。生物の多くではゲノムの本体として二本鎖DNAが安定に存在するが、単鎖DNAはDNA複製、DNA修復、相同組換えなどの重要な細胞内プロセスにおいて一時的な中間体として生じるほか、特定のウイルス(一本鎖DNAウイルス)の遺伝物質としても存在する。1

細胞内において、単鎖DNAは非常に重要な役割を担っている。例えば、DNA複製の過程では、二本鎖DNAがほどけて複製フォークが形成される際にテンプレート(鋳型)となる単鎖DNA領域が露出する。また、細胞が紫外線や放射線などによってDNA損傷を受けた際や、DNA二重鎖切断が生じた際には、相同組換え修復の過程でタンパク質が結合した単鎖DNAフィラメントが形成され、正確な遺伝情報の修復を仲介する。2

さらに、単鎖DNAは細胞内のDNA損傷チェックポイント機構においても主要なシグナル分子として機能する。過剰な単鎖DNAの蓄積や複製ストレスが生じた場合、これらをセンサー蛋白質が認識し、細胞周期の停止や修復機構の活性化を引き起こすことで、ゲノム安定性の維持に寄与している。3

参考文献・出典

  1. 生物科学辞典: https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E3%83%A1%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%82%B8 ↩
  2. 先端バイオ情報学分野 講義資料: https://www.k.u-tokyo.ac.jp/pros/master/information/kuroda/pdf/kuroda_kenkyushoukai.pdf ↩
  3. J-STAGE: https://www.jstage.jst.go.jp/article/biophys/52/3/52_136/_pdf ↩