HEALTH WORDS / 用語解説
卵黄嚢腫瘍
Yolk sac tumor
卵黄嚢腫瘍とは、胚細胞由来の悪性腫瘍の一つであり、胎児期の卵黄嚢への分化傾向を示す腫瘍である。1 主に小児の精巣や、成人女性の卵巣などの生殖器に発生するほか、縦隔や仙尾部などの性腺外原発としても生じる稀な疾患である。2
組織学的には、胎児の卵黄嚢構造や中胚葉様間葉組織に類似した多彩な組織像を呈する。1 特徴的な組織像として、内胚葉洞構造に類似したシラパ・デュバル小体(Schiller-Duval body)と呼ばれる血管周囲性の糸球体様構造が観察されることが診断上の大きな手がかりとなる。1 また、細胞質内に硝子様小体がみられることも多く、これらはアルブミンやα-フェトプロテイン(AFP)などの蛋白質を含有している。
臨床検査においては、血中のα-フェトプロテイン(AFP)が著明に高値を示すことが極めて特徴的である。2 この血清AFP値の測定は、診断だけでなく、治療効果の判定や術後の再発モニタリングにおける重要な腫瘍マーカーとしても広く活用されている。
かつては予後不良な腫瘍とされていたが、シスプラチンなどのプラチナ製剤を基盤とした多剤併用化学療法(抗悪性腫瘍薬による治療)の導入により、治癒率が劇的に向上した。2 現在では、早期発見と適切な化学療法および外科手術を組み合わせることで、進行期であっても寛解や治癒が期待できる疾患の一つとなっている。2
参考文献・出典
- 難治性小児・若年性肝がんの新規治療法開発に向けた基盤研究: https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-20K07418/ ↩1 ↩2 ↩3
- 国立がん研究センター 希少がんセンター 卵巣悪性腫瘍(卵巣がん): https://www.ncc.go.jp/jp/rcct/030/040/020/020/030/index.html ↩1 ↩2 ↩3 ↩4