HEALTH WORDS / 用語解説
呼吸器感作性物質
Respiratory sensitizer
呼吸器感作性物質とは、吸入されることにより気道過敏症を引き起こす性質を持つ化学物質または生体物質のことをいう。1
一度感作が成立すると、その後は極めて低濃度の暴露であってもアレルギー反応や喘息様の症状を惹起する特徴を有している。1
国際的に調和されたGHS(化学品の分類および表示に関する世界調和システム)においては、健康有害性の一つとして分類されている。2
労働衛生の分野において、呼吸器感作性物質は職業性喘息の主要な原因物質として認識されている。3
職場環境における代表的な例としては、イソシアネート類、酸無水物、ホルムアルデヒドなどの化学物質のほか、天然ゴムラテックスや各種酵素製剤などのタンパク質由来の物質が挙げられる。3
これらの物質がエアロゾルや粉じん、蒸気などの形態となって空気中に飛散し、それを作業者が吸入することで肺や気管支の免疫系に作用する。1
感作機序の詳細にはI型アレルギー(即時型アレルギー)やIV型アレルギー(遅延型アレルギー)が関与していると考えられており、抗体や感作リンパ球の産生を伴う免疫学的機序によって引き起こされる点が、単なる刺激性物質による気道への刺激作用とは明確に区別される。3
呼吸器感作性物質による健康障害を防ぐためには、作業環境測定による濃度の把握や、局所排気装置の設置といった工学的対策が極めて重要となる。1
また、労働者の健康管理の観点からは、特殊健康診断の実施や、適切な防塵マスクや防毒マスクなどの呼吸用保護具の選定および着用指導が必要不可欠とされる。1
参考文献・出典
- 職場のあんぜんサイト:化学物質:呼吸器感作性物質: https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gms/e_grm233.html ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5
- 職場のあんぜんサイト:GHS分類とは: https://anzeninfo.mhlw.go.jp/ghs/ghs_what.html ↩
- 独立行政法人労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所:職業性アレルギー: https://www.jniosh.johas.go.jp/publication/doc/shiryo/tr-2019-03.pdf ↩1 ↩2 ↩3