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HEALTH WORDS / 用語解説

生体物質

Biological Material / Biomolecule

生体物質とは、生体を構成し、あるいは生命維持活動に関与するすべての有機化合物および無機物の総称である。1

生物の体を形作り、代謝や遺伝情報の伝達といった生命現象の根幹を担う物質群であり、その範囲は極めて多岐にわたる。2

生体物質は、大別して低分子化合物と高分子化合物に分類される。

低分子の生体物質には、水や無機イオンのほか、エネルギーの通貨として知られるアデノシン三リン酸(ATP)や、アミノ酸、単糖、脂肪酸などの代謝中間体が含まれる。

これらは細胞内の様々な化学反応の基質となり、生体防御やシグナル伝達などの調節機能も果たしている。3

一方、高分子の生体物質である生体高分子には、タンパク質、核酸(DNAおよびRNA)、多糖類などが挙げられる。

これらは多数の単量体(モノマー)が共有結合によって直鎖状または分岐状に重合した構造を持ち、分子量が数千から数百万に達する巨大な化合物である。4

タンパク質は、20種類のL-アミノ酸がペプチド結合によって重合したものであり、酵素としての触媒作用、ホルモンや受容体としての情報伝達、抗体による免疫応答、さらには細胞骨格の形成など、生体内のあらゆる機能の実行者として極めて重要な役割を担っている。5

核酸は、ヌクレオチドがホスホジエステル結合で重合した高分子であり、DNAは遺伝情報の長期的な保存を、RNAはその情報に基づくタンパク質の生合成(転写および翻訳)をそれぞれ担当している。6

多糖類は、多数の単糖がグリコシド結合によって結びついたものであり、植物におけるデンプンやセルロース、動物におけるグリコーゲンなど、エネルギーの貯蔵物質や細胞壁などの構造材として機能する。7

また、これら三大生体高分子のほかに、脂質も重要な生体物質の一つである。

脂質は厳密には高分子ではないものの、疎水性または両親媒性の性質を持ち、リン脂質として生体膜(細胞膜)の基本骨格を形成するほか、トリグリセリドとして効率的なエネルギー貯蔵源となる。8

これらの生体物質は、単独で存在するだけでなく、糖タンパク質やリポタンパク質、糖脂質のように互いに複合体を形成して、細胞膜の表面での細胞識別や物質輸送など、高度な生命維持機構に寄与している。9

生体物質の構造や性質、相互作用を網羅的に解析することは、生化学や分子生物学、細胞生物学における中心的な課題であり、疾患のメカニズムの解明や創薬、再生医療などの先端医学・生物学分野において不可欠な基盤知識となっている。10

参考文献・出典

  1. J-GLOBAL 科学技術総合リンクセンター: https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=200906051515284050 ↩
  2. 国立国会図書館サーチ: https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002517865-00 ↩
  3. J-GLOBAL 科学技術総合リンクセンター: https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=201002047326553883 ↩
  4. 国立国会図書館サーチ: https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000000414963-00 ↩
  5. J-GLOBAL 科学技術総合リンクセンター: https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=200906019770513812 ↩
  6. 国立国会図書館サーチ: https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002931441-00 ↩
  7. J-GLOBAL 科学技術総合リンクセンター: https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=200906037042048569 ↩
  8. 国立国会図書館サーチ: https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000008010344-00 ↩
  9. J-GLOBAL 科学技術総合リンクセンター: https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=200906064287538210 ↩
  10. 国立国会図書館サーチ: https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I023883395-00 ↩