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HEALTH WORDS / 用語解説

呼吸抑制

Respiratory depression

呼吸抑制とは、中枢神経系の抑制や呼吸筋の機能低下などにより、呼吸の回数である呼吸数や一回あたりの換気量が減少し、体外への二酸化炭素の排出が十分に行われなくなる病態または生理学的変化である。1

呼吸抑制は、脳幹にある呼吸中枢が抑制されることによって引き起こされることが多く、臨床医学や薬理学の分野において重要な副作用および中毒症状の一つとして知られている。1

代表的な原因としては、オピオイド受容体に作用する鎮痛薬や、中枢神経系を抑制するバルビツール酸系薬物、ベンゾジアゼピン系薬物などの薬剤の投与過剰や過量投与が挙げられる。1

これらの中枢神経抑制薬は、延髄に存在する呼吸中枢の二酸化炭素に対する反応性を低下させるため、血中二酸化炭素分圧が上昇しても換気を亢進させる反射が損なわれ、結果として呼吸運動が著しく減弱する。2

病態生理学的には、呼吸抑制が進行すると、肺胞におけるガス交換が不十分となり、動脈血中の酸素分圧が低下する低酸素血症と、二酸化炭素が蓄積する高二酸化炭素血症を引き起こす。1

これにより呼吸性酸塩基平衡障害の一種である呼吸性酸性症(アシドーシス)を併発し、重篤な場合には意識障害、昏睡、さらには心停止や死亡に至る危険性があるため、厳重な生体モニタリングが必要となる。1

医療現場において、オピオイドによる呼吸抑制が確認された場合には、速やかに気道確保や酸素投与などの呼吸管理を行うとともに、特異的拮抗薬であるナロキソンなどの投与が行われることがある。1

参考文献・出典

  1. 厚生労働省 医療用医薬品の添付文書情報: https://www.info.pmda.go.jp/go/pack/1113003F1020_2_07/ ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6
  2. 厚生労働省 医療用医薬品の添付文書情報: https://www.info.pmda.go.jp/go/pack/1219001F1054_1_11/ ↩