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HEALTH WORDS / 用語解説

基底核変性症

Basal Ganglia Degeneration

基底核変性症とは、大脳基底核を中心とする神経変性疾患の総称であり、主に錐体外路症状を特徴とする疾患群である。1 人間の脳の深部に位置し運動の調整や制御に重要な役割を果たす大脳基底核や関連する神経系において、神経細胞が進行性に変性および脱落することで発症する。2

大脳基底核は、尾状核、被殻、淡蒼球、視床下核、黒質などの構造から構成されており、これらは円滑な随意運動の実行や姿勢保持、筋緊張の調節に深く関与している。2 基底核変性症においては、これらの部位が障害されることにより、多彩な運動障害が引き起こされる。1 臨床的な症状としては、無動、寡動、筋固縮、振戦といったパーキンソニズムを示すことが多いほか、ジストニア、アテトーゼ、舞踏病(コリア)、ミオクローヌスなどの不随意運動が認められることもある。2

基底核変性症という用語は、単一の疾患を指すものではなく、特定の病理学的特徴や臨床像を共有するいくつかの神経難病を含む広い概念として用いられる。1 代表的な疾患としては、進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、多系統萎縮症、ハンチントン病、ウィルソン病などが挙げられる。1 これらの疾患は、それぞれ原因や詳細な病態生理、遺伝的背景が異なるが、いずれも脳組織の特定の神経回路における異常タンパク質の蓄積や神経細胞死を共通の基盤としている。2

例えば、進行性核上性麻痺ではタウタンパク質の異常な蓄積が脳幹や基底核に見られ、垂直方向の眼球運動障害や早期からの転倒を伴う姿勢反射障害が特徴となる。3 また、大脳皮質基底核変性症では、大脳皮質と基底核の両方が非対称性に萎縮し、失行やエイリアンハンド症候群、片側の筋固縮やジストニアといった独特の症状が現れる。1

診断にあたっては、詳細な神経学的診察を行い、運動障害の性質や認知機能の状態を評価することが重要である。2 さらに、頭部MRI検査などの画像診断を用いて、基底核や脳幹、大脳皮質の形態的変化や萎縮の程度を確認する。1 疾患によってはPET検査やSPECT検査といった核医学検査を行い、脳血流や代謝の低下、特定の受容体の分布異常を評価することが鑑別診断に役立つ。3

現在のところ、基底核変性症に属する多くの疾患に対して、病態の進行そのものを根本的に停止させる根治療法は確立されていない。1 そのため、治療は対症療法が中心となり、不足している神経伝達物質を補う薬物療法や、症状を緩和させるためのリハビリテーションが行われる。2 予後については、疾患の種類や進行の速度によって異なるが、多くの場合は慢性進行性であり、時間の経過とともに日常生活動作(ADL)が制限されるようになるため、医療および福祉の多職種による継続的な支援が必要とされる。1

参考文献・出典

  1. 難病情報センター: https://www.nanbyou.or.jp/entry/4804 ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8
  2. MSDマニュアルプロフェッショナル版: https://www.msdmanuals.com/ja-jp/プロフェッショナル/10-神経疾患/運動障害および小脳障害/大脳基底核疾患の概要 ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6
  3. 難病情報センター: https://www.nanbyou.or.jp/entry/1665 ↩1 ↩2