HEALTH WORDS / 用語解説
基底膜ヘパラン硫酸
Basement membrane heparan sulfate
基底膜ヘパラン硫酸とは、細胞外マトリックスの一種である基底膜に豊富に存在する、硫酸化された糖鎖を持つプロテオグリカン(ヘパラン硫酸プロテオグリカン)に結合したヘパラン硫酸のことである。1
ヘパラン硫酸は、ウロン酸とグルコサミンの二糖繰り返し構造を骨格とし、複雑な修飾を受けることで多様な生体内機能を発揮する糖鎖である。2
基底膜において代表的なヘパラン硫酸プロテオグリカンとしてはペルレカンやアグカン、コラーゲン XVIIIなどが挙げられ、これらは基底膜の主要な構成分子として網目構造の形成や組織の機械的支持に寄与している。1
基底膜ヘパラン硫酸は、その負に帯電した硫酸基やカルボキシ基に由来する電荷的特性を利用して、成長因子やサイトカイン、ケモカインなどの多様な生理活性物質と強く結合する性質を持つ。2
このような液性因子との結合を介して、リガンドの細胞表面受容体への提示を効率化したり、濃度勾配の形成を助けたりすることで、シグナル伝達の調節や細胞の増殖・分化・移動などの多様な細胞生物学的プロセスを制御している。2
また、腎臓の糸球体基底膜に存在するヘパラン硫酸は、血漿タンパク質の透過を防ぐためのサイズ選択性および電荷選択性の濾過バリア(血液濾過機構)の維持において極めて重要な役割を果たしており、タンパク尿の発症機構や腎疾患の病態解析とも深く関連している。3
さらに、基底膜ヘパラン硫酸は血管新生の調節や、がん細胞の浸潤・転移の過程において周囲の組織微小環境を変化させる因子としても機能することが示されている。1
参考文献・出典
- J-GLOBAL 科学技術総合リンクセンター: https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=200907026725801018 ↩1 ↩2 ↩3
- J-GLOBAL 科学技術総合リンクセンター: https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=201007011985655767 ↩1 ↩2 ↩3
- J-GLOBAL 科学技術総合リンクセンター: https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=201102047530869680 ↩