HEALTH WORDS / 用語解説
放射線障害
Radiation Injury
放射線障害とは、生体が過剰な放射線に被曝することによって引き起こされる組織や器官の障害およびそれに伴う臨床症状の総称である。1
放射線が生体に作用すると、細胞内の水分子などを電離し、活性酸素などのフリーラジカルを生成する。2
これにより生じた化学的反応がDNAなどの生体高分子を直接的または間接的に損傷し、細胞死や遺伝子変異を誘発する。3
放射線障害は、その発生様式や症状の特徴から「確率的影響」と「決定論的影響」の2つに大別される。4
決定論的影響(組織反応)は、被曝線量が一定の閾値を超えた場合に発生し、線量の増加に伴ってその重篤度が増す障害である。4
これには急性放射線症、皮膚障害、白内障、不妊などが含まれ、多数の細胞が死滅あるいは機能障害に陥ることで顕在化する。4
一方、確率的影響は、発生確率が線量に比例して高くなると考えられているものの、障害の重篤度は被曝線量に依存しない現象である。4
代表的なものとしてがん(悪性新生物)の発生や、生殖細胞の遺伝的影響が挙げられ、これらには発生の閾値が存在しないと仮定されている。4
また、曝露された時期による分類として、受精卵や胎児の時期に被曝した際に起こる胎児障害があり、形態異常や精神遅滞などのリスクが生じる。1
さらに、被曝の状況によって外部被ばくと内部被ばくに分かれ、放射性物質が体内に取り込まれた場合には、特定の臓器や組織に長期間にわたって放射線が照射され続けることによる障害が懸念される。5
放射線障害の診断や治療においては、被曝線量の推計、造血幹細胞移植を含む対症療法、汚染の除去などが病態に応じて実施される。3
参考文献・出典
- 原子放射線の影響に関する国連科学委員会 環境省: https://www.env.go.jp/chemi/rhm/h30kisoshiryo/h301st/01-04-01.html ↩1 ↩2
- 放射線医学総合研究所 量子科学技術研究開発機構: https://www.qst.go.jp/site/qms/1324.html ↩
- 量子科学技術研究開発機構: https://www.qst.go.jp/site/qms/1324.html ↩1 ↩2
- 環境省: https://www.env.go.jp/chemi/rhm/h30kisoshiryo/h301st/01-03-05.html ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5
- 環境省: https://www.env.go.jp/chemi/rhm/h30kisoshiryo/h301st/01-02-02.html ↩