HEALTH WORDS / 用語解説
歯乳頭細胞
Dental papilla cells
歯乳頭細胞とは、歯の発生初期における間葉系細胞の一種であり、将来的に象牙質を形成する象牙芽細胞や歯髄へと分化する能力を持つ幹細胞様の性質を備えた細胞群である。12
歯の発生過程において、口腔粘膜の上皮と外胚葉性間葉系との間の相互作用により歯胚が形成されるが、その中で内側に位置する歯乳頭を構成するのが歯乳頭細胞である。12
この歯乳頭はエナメル器に取り囲まれるようにして存在しており、発生が進むにつれてエナメル質を形成するエナメル芽細胞との厳密な位置的・時間的シグナル伝達を行いながら歯の形態や構造を作り上げていく。12
歯乳頭細胞は高い分化能を有しており、適切な環境下において象牙芽細胞へと分化することで象牙質の基質を産生し、硬組織形成に直接的な役割を果たしている。12
また、歯の発生が完了した後においても、歯乳頭の一部は歯髄組織として残り続け、成熟した歯髄内にも間葉系幹細胞としての性質を持つ細胞が存在し続けることが知られている。12
近年の再生医学や幹細胞生物学の分野においては、歯乳頭細胞やそこから派生する幹細胞が持つ高い増殖能や多系統への分化能に着目した研究が盛んに行われている。12
特に、う蝕や歯牙破折などによって失われた歯髄や象牙質などの歯組織を再生させるための再生医療や組織工学における重要な細胞源として期待されている。12
歯乳頭細胞の体外培養技術や、特定の細胞系列へと誘導するための分化誘導因子に関する研究が進められており、将来的な臨床応用を見据えた基礎的知見の蓄積が進められている。12