HEALTH WORDS / 用語解説
水疱性発疹
Vesicular rash
水疱性発疹とは、皮膚の表面に水疱(液体を含んだ小さな盛り上がり、いわゆる水ぶくれ)が多数生じる皮膚症状の総称である。1
水疱は、皮膚の表皮内あるいは表皮下に液体が貯留することによって形成される病変であり、その大きさや発生する部位、随伴症状は原因となる疾患によってさまざまである。2
水疱性発疹を引き起こす原因は多岐にわたり、大きく感染症と免疫異常や自己免疫反応に関連するものに大別される。3
感染症の領域では、水痘・帯状疱疹ウイルスによる水痘(みずぼうそう)や帯状疱疹が代表的な疾患として知られており、これらは神経節に潜伏していたウイルスが再活性化することや、新規に感染することで特徴的な水疱性発疹を全身あるいは神経支配領域に沿って引き起こす。4
また、単純ヘルペスウイルスの感染によっても、口唇や外陰部などの粘膜および皮膚移行部に群発性の水疱性発疹が繰り返し発生することがある。5
さらに、コクサッキーウイルスやエンテロウイルスなどが原因となる手足口病やヘルパンギーナでも、口腔内や手掌、足底などに小水疱を主徴とする発疹が観察される。6
一方、感染症以外では、自己免疫疾患である天疱瘡や水疱性類天疱瘡などが挙げられ、これらは体調の免疫系が誤って自己の皮膚構成分子を攻撃し、表皮と真皮の接着が破綻することで弛緩性水疱や緊張性水疱といった水疱性発疹が持続的に形成される。7
臨床的な診断においては、水疱性発疹の形態や分布だけでなく、Nikolsky現象の有無や、Tzanck試験、皮膚生検による病理組織学検査、免疫蛍光抗体法などが組み合わせて実施される。3
治療方針は原因疾患の特定に基づいて決定され、ウイルス性であれば抗ウイルス薬の投与、細菌性の二次感染が疑われる場合は抗菌薬の使用、そして自己免疫性疾患に起因する場合は副腎皮質ステロイド薬や免疫抑制薬を用いた薬物療法が行われる。7
水疱が破れると皮膚のバリア機能が低下し、びらんや潰瘍を形成して疼痛を伴うほか、細菌の二次感染による蜂窩織炎などの合併症を誘発するリスクがあるため、患部を清潔に保ち適切な創傷治癒を促す処置が極めて重要となる。2
参考文献・出典
- 南山堂 医学大辞典 ↩
- Merck Manual Professional Edition: https://www.msdmanuals.com/ja-jp/プロフェッショナル/20-皮膚疾患/皮膚病変の総論/水疱 ↩1 ↩2
- MSDマニュアル プロフェッショナル版: https://www.msdmanuals.com/ja-jp/プロフェッショナル/20-皮膚疾患/皮膚病変の総論/水疱 ↩1 ↩2
- 国立感染症研究所: https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/405-varicella-intro.html ↩
- MSDマニュアル 家庭版: https://www.msdmanuals.com/ja-jp/ホーム/16-皮膚の疾患/皮膚感染症/単純ヘルペス感染症 ↩
- 国立感染症研究所: https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/523-hfmd-intro.html ↩
- 難治性疾患情報センター: https://www.nanbyou.or.jp/entry/55 ↩1 ↩2