HEALTH WORDS / 用語解説
無肢症
Amelia
無肢症とは、胚発生の初期段階において四肢の原基が何らかの原因で形成不全を起こすことにより、1本以上の上肢または下肢が完全に欠損した状態で出生する極めて稀な先天性疾患、あるいは先天異常のことである。1
この疾患は、単独で発生する場合と、他の身体の部位における奇形や症候群の一部として合併して発生する場合がある。四肢の欠損は片側性または両側性に起こり得るほか、上肢のみ、下肢のみ、あるいは四肢すべての欠損(テトラアメリア症候群)など、その現れ方には多様性が見られる。無肢症の正確な病因については完全に解明されているわけではないが、遺伝的要因と環境的要因の双方が複雑に関与していると考えられている。分子生物学的な観点からは、胚の形態形成において四肢の軸決定や細胞増殖を制御する特定の遺伝子群の変異や、シグナル伝達系(例えばFGFシグナルなど)の異常が発症に関与していることが示唆されている。また、環境的要因としては、妊娠初期における特定の薬剤や化学物質への曝露、母体の感染症、あるいは胎内での血流障害などがリスク因子として挙げられる。臨床的な診断においては、近年の超音波検査をはじめとする画像診断技術の飛躍的な向上により、出生前診断の段階で四肢の欠損を確認することが可能となっている。出生後の管理および治療アプローチとしては、小児科医、整形外科医、リハビリテーション科医、義肢装具士、心理学者など多職種からなるチーム医療が不可欠となる。患児の運動機能の獲得や自立支援を目的として、成長の段階に応じた理学療法や作業療法が行われるとともに、機能的な動作を補うための義肢の処方や訓練が実施される。さらに、四肢の欠損に伴う身体的なハンディキャップだけでなく、心理社会的外因に対するケアや、家族に対する遺伝カウンセリングを含めた包括的な支援体制が極めて重要視されている。2
参考文献・出典
- NINDS Amelia Information Page: https://www.ninds.nih.gov/health-information/disorders/amelia ↩
- Orphanet: Amelia: https://www.orpha.net/en/disease/detail/93121 ↩