HEALTH WORDS / 用語解説
瘢痕ヘルニア
Incisional hernia
瘢痕ヘルニアとは、過去に受けた手術の切開創(瘢痕部)の筋膜などの腹壁の層が完全に癒合せず、そこから腹腔内の臓器や組織が皮下に脱出する疾患である。1
腹壁瘢痕ヘルニアとも呼ばれ、腹部外科手術の代表的な術後合併症の一つとして知られている。2
発生の主な原因としては、手術時の腹壁の縫合不全や、術後の創部感染、腹圧の上昇などが挙げられる。1
また、患者側の全身状態として、肥満、糖尿病、栄養障害、ステロイドの長期使用なども、組織の治癒を遅延させ発症リスクを高める要因となる。1
臨床症状としては、過去の手術痕に一致した部位やその周辺の腫瘤形成が特徴的であり、立位時や腹圧をかけた際に膨隆し、臥位になると消失あるいは用手的に還納できることが多い。1
初期段階では無症状のことも多いが、増大するにつれて局所の違和感、疼痛、牽引痛などを伴うことがある。1
さらに進行すると、脱出した腸管などがヘルニア門で締め付けられて血流障害をきたす嵌頓状態に陥る危険性がある。2
嵌頓を来した場合は腸閉塞や腸管壊死を引き起こすため、緊急手術の適応となる重篤な病態である。2
診断においては、詳細な問診と身体診察に加え、腹部の画像検査として超音波検査やCT検査が有用である。1
画像検査によって、ヘルニア門の大きさ、脱出している内容物の種類、腸管の血流状態などを正確に評価することが可能となる。1
治療法については、自然治癒が期待できないため、根本的な治療として外科的手術が行われる。1
従来の手術法である組織を直接縫縮する方法に加え、近年では再発率を低下させるために人工補綴材(メッシュ)を用いたメッシュ修復術が広く採用されている。1