HEALTH WORDS / 用語解説
神経皮膚症候群
Neurocutaneous syndrome
神経皮膚症候群とは、外胚葉由来である中枢神経系、末梢神経系および皮膚を中心に、多彩な腫瘍形成や過誤腫性病変を高頻度で合併する、遺伝性の疾患群の総称である。1
このグループに属する疾患は、神経系統の組織と皮膚が同一の発生学的起源(外胚葉)を持つことに由来して、両者に共通した病変が同時に現れる特徴を持つ。2
歴史的には斑状症候群とも称され、全身の多臓器にわたって血管腫や色素斑、神経線維腫などの良性腫瘍または悪性腫瘍のリスクを伴うことが多い。1
代表的な疾患としては、神経線維腫症1型、神経線維腫症2型、および結節性硬化症などが挙げられ、これらは常染色体優性遺伝形式をとることが多い。2
神経線維腫症1型では、皮膚のカフェオレ斑や雀卵斑様皮疹に加え、中枢神経系における膠腫や神経線維腫が形成される。1
結節性硬化症においては、顔面の血管線維腫や脳内の結節、網膜の過誤腫、さらには腎臓の血管筋脂肪腫などの多発性病変が臨床的特徴となる。3
これらの疾患の多くは遺伝子変異に起因しており、細胞の増殖や分化を抑制するがん抑制遺伝子の機能喪失が病態の根底に関与していることが分子生物学的に明らかにされている。2
臨床症状は小児期から成人期にかけて段階的に現れることが多く、てんかん発作、知的障害、学習障害、あるいは脊髄や末梢神経の圧迫による運動麻痺など、神経系の障害が患者の生活の質に大きな影響を及ぼす。1
診断にあたっては、詳細な皮膚科的診察に加え、脳磁共振画像法(MRI)などの画像診断、および原因遺伝子を特定するための遺伝子検査が重要な役割を果たしている。3
治療法としては、各病変の進行や合併症に応じた対症療法が中心となるが、近年ではmTOR阻害薬などの分子標的薬が一部の神経皮膚症候群に対する有効な薬物療法として臨床導入されており、治療戦略の進歩が見られる。3
参考文献・出典
- 難病情報センター: https://www.nanbyou.or.jp/entry/4216 ↩1 ↩2 ↩3 ↩4
- 国立精神・神経医療研究センター: https://www.ncnp.go.jp/nin/guide/r4/phakomatosis.html ↩1 ↩2 ↩3
- 難病情報センター: https://www.nanbyou.or.jp/entry/2130 ↩1 ↩2 ↩3