HEALTH WORDS / 用語解説
神経線維腫症2型
Neurofibromatosis type 2
神経線維腫症2型とは、常染色体顕性遺伝(常染色体優性遺伝)形式をとる遺伝性の腫瘍抑制遺伝子疾患であり、両側性の聴神経腫瘍(前庭神経鞘腫)の発生を特徴とする疾患である。1
本症の原因遺伝子は第22染色体長腕(22q12.2)に存在するNF2遺伝子であり、同遺伝子がコードするタンパク質であるメルビン(またはシュワルミノミン)の機能喪失が発症の基盤となる。1
NF2遺伝子の変異により、細胞の増殖制御や運動、接着などの制御に異常が生じ、中枢神経系を中心として多発性の腫瘍が形成されるようになる。2
臨床的には、両側の前庭神経鞘腫の発生が極めて高頻度にみられ、これが原因となって進行性の難聴、耳鳴り、平衡機能障害などが引き起こされる。1
前庭神経鞘腫以外にも、脳神経や脊髄の神経鞘腫、髄膜腫、上衣腫などの中枢神経系腫瘍が多発することが特徴である。2
また、眼科的合併症として若年性白内障を高率に合併し、視力障害の原因となることがあるため、定期的な眼科的検査が重要視される。1
皮膚症状としては、カフェオレ斑(牛乳茶褐色斑)などの色素斑がみられることもあるが、1型である神経線維腫症1型と比較すると、皮膚神経線維腫やカフェオレ斑の数や頻度は少ない傾向にある。1
発症年齢は思春期から青年期にかけてであることが多く、初期症状としては耳鳴りや聴力低下、あるいは平衡感覚の異常などが挙げられるが、症状が非特異的なため発見が遅れることもある。2
診断は、家族歴の有無に加え、頭部および脊髄の磁気共鳴画像法(MRI)検査による両側性前庭神経鞘腫の確認や、髄膜腫などの合併腫瘍の検出を基に行われる。1
さらに、遺伝学的検査によってNF2遺伝子の変異を検出することが確定診断において極めて有用であり、家系内発症の診断や保因者診断にも応用されている。1
治療法に関しては、根治的な薬物療法はいまだ確立されておらず、腫瘍の増大や神経症状の進展に応じて、外科的手術や放射線治療(ガンマナイフなど)を組み合わせた対症的な集学的治療が選択される。1
近年の分子生物学的研究の進展により、NF2遺伝子異常に関連するシグナル伝達経路を標的とした分子標的薬や免疫療法などの臨床試験が進められており、将来的な治療法の改善が期待されている。2