HEALTH WORDS / 用語解説
精神科領域
Psychiatry
精神科領域とは、精神疾患の診断、治療、予防、およびリハビリテーションを専門とする医学の分野である。1 精神医学とも呼ばれ、人間の脳の機能異常や心理的な要因、社会的な背景が複雑に絡み合って生じる心の病態を対象としている。2
精神科領域における主要な疾患の一つに統合失調症がある。 統合失調症は、幻覚や妄想といった陽性症状に加え、感情の平板化や意欲の低下などの陰性症状、さらには認知機能障害を特徴とする精神疾患である。3 思春期から青年期にかけて発症することが多く、長期的な薬物療法と精神療法、社会適応訓練などの包括的支援が必要とされる。4
また、気分障害(感情障害)も重要な位置を占める。 気分障害には、著しい抑うつ気分や興味の喪失が持続するうつ病や、躁状態と鬱状態を繰り返す双極性障害が含まれる。5 うつ病は神経伝達物質の代謝異常などが関与していると考えられており、抗うつ薬を用いた薬物療法や認知行動療法などの心理療法が行われる。6 双極性障害では、気分安定薬を用いて気分の波をコントロールし、再発を防ぐ治療が中心となる。7
近年では、発達障害に対する診断と支援も精神科領域の大きな領域となっている。 自閉スペクトラム症(ASD)や注意欠如・多動症(ADHD)などの発達障害は、先天的な脳の機能障害に起因するとされ、幼児期から成人期にいたるまで様々な特性が現れる。8 医療機関においては、心理検査や問診を通じて診断が行われ、特性に応じた環境調整やソーシャルスキルトレーニング、必要に応じた薬物療法が提供される。9
さらに、不安症や強迫症、トラウマに関連する心的外傷後ストレス障害(PTSD)なども精神科領域の対象疾患である。 これらの疾患に対しては、曝露反応妨害法をはじめとする認知行動療法や、セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)などの抗不安薬・抗うつ薬を用いた薬物療法が科学的根拠に基づいて実施される。10 精神科領域の診療は、単に症状を和らげるだけでなく、患者のQOL(生活の質)の向上と社会復帰を目指して、医師、看護師、精神保健福祉士、公認心理師などの多職種チームによって総合的に進められる。11
参考文献・出典
- 厚生労働省: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaisha/seishin/index.html ↩
- 国立精神・神経医療研究センター: https://www.ncnp.go.jp/about/outline.html ↩
- 厚生労働省e-ヘルスネット: https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-03-001.html ↩
- 国立精神・神経医療研究センター病院: https://www.ncnp.go.jp/hospital/patient/disease01.html ↩
- 厚生労働省e-ヘルスネット: https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-03-002.html ↩
- 厚生労働省e-ヘルスネット: https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-04-001.html ↩
- 厚生労働省e-ヘルスネット: https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-03-004.html ↩
- 厚生労働省e-ヘルスネット: https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-03-005.html ↩
- 国立精神・神経医療研究センター: https://www.ncnp.go.jp/mental_info/diagnosis/disorder07.html ↩
- 厚生労働省e-ヘルスネット: https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-02-001.html ↩
- 厚生労働省: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaisha/sassi_00003.html ↩