ホーム胸部レントゲン検査

HEALTH WORDS / 用語解説

胸部レントゲン検査

Chest X-ray examination

胸部レントゲン検査とは、X線を利用して胸郭内部の臓器、特に肺や心臓、気管などの状態を画像として描出する代表的な画像診断法である。1

本検査は、微量の放射線を身体に照射し、各組織におけるX線の透過性の違いを利用して影影を作る仕組みになっている。2

撮影時には、被験者は立位となり、胸部をX線フィルムまたはフラットパネル検出器(FPD)に密着させた状態で、大きく息を吸い込んで止めるよう指示される。3

息を吸い込む理由は、肺胞に空気を十分に満たすことで肺野のコントラストを高め、微小な病変や肺実質の異常影を見逃さないようにするためである。4

一般的な胸部単純X線撮影では、主に背中側からX線を入射させる背面撮影(PA撮影)が行われるが、病態や患者の体位によっては腹面撮影(AP撮影)や側面撮影が追加されることもある。5

得られた画像上では、空気が多く含まれる肺はX線をよく透過するため黒く(透過性亢進)描出され、骨や心臓などの密度が高い組織はX線を遮るため白く(不透過像)描出される。6

この画像を解析することにより、肺炎や肺結核などの感染症、肺癌などの悪性腫瘍、気胸、胸水の貯留、あるいは心肥大や心不全に伴う肺うっ血などの循環器疾患をスクリーニングすることができる。7

特に健康診断や人間ドックなどの集団検診において、無症状の疾患を早期に発見するための一次検査として極めて重要な役割を担っている。8

一方で、胸部レントゲン検査は立体的な構造物を平面の2次元画像として重ね合わせて投影するため、心臓の裏側や横隔膜の直上、あるいは肋骨と重なり合う部位に存在する小さな病変の検出が困難であるという限界も存在する。9

そのため、本検査で何らかの異常影が認められた場合や、より詳細な局所的評価が必要と判断された場合には、CT検査などのさらに精密な画像診断へと進むのが一般的な臨床の流れである。10

また、妊婦またはその可能性がある女性に対するX線照射については、胎児への放射線影響を考慮し、正当化の原則に基づき臨床的意義が被ばくのリスクを上回ると判断される場合を除き慎重に判断されるか、あるいは延期される。11

参考文献・出典

  1. 日本放射線技術学会: https://www.jsrt.or.jp/gijutsu/img-rad/ ↩
  2. 厚生労働省: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/sensin/h29_1_01.pdf ↩
  3. 国立がん研究センター: https://ganjoho.jp/public/pre_scr/screening/chest_x_ray.html ↩
  4. 日本呼吸器学会: https://www.jrs.or.jp/modules/citizen/index.php?content_id=1 ↩
  5. 日本医学放射線学会: https://www.radiology.jp/content/files/pdf/member/ryouiki/2020_guideline.pdf ↩
  6. 日本医師会: https://www.med.or.jp/forest/gakkai/kensahou/01.html ↩
  7. 国立国際医療研究センター: https://www.ncgm.go.jp/hospital/kensaku/kyobu.html ↩
  8. 日本人間ドック学会: https://www.docknet.jp/public/inspection/chest/ ↩
  9. 日本胸部外科学会: https://www.jtcs.gr.jp/modules/patient/index.php?content_id=1 ↩
  10. 日本放射線腫瘍学会: https://www.jastro.or.jp/patient/treatment/guide/ ↩
  11. 環境省: https://www.env.go.jp/chemi/rhm/h30kisoshiryo/h30-03-02-04.html ↩