ホーム脱プリン脱ピリミジン部位エンドヌクレアーゼ

HEALTH WORDS / 用語解説

脱プリン脱ピリミジン部位エンドヌクレアーゼ

脱プリン脱ピリミジン部位エンドヌクレアーゼとは、DNA中の塩基であるプリンまたはピリミジンが脱落して生じた脱プリン・脱ピリミジン部位(APサイト)を認識し、そのリン酸ジエステル結合を切断する酵素の総称である。1

この酵素は、細胞内で絶えず発生するDNA損傷を修復する塩基除去修復(BER)経路において中心的な役割を担っている。2 DNAは活性酸素種や電離放射線、化学物質などの内因性および外因性の要因により、塩基が自然に脱落してAPサイトを形成する障害を頻繁に受ける。 APサイトがそのまま放置されると、DNA複製の障害や突然変異の原因となり、細胞死や発がんにつながる危険性があるため、迅速な修復が必要不可欠となる。

脱プリン脱ピリミジン部位エンドヌクレアーゼは、APサイトの5'側のリン酸ジエステル結合を水解し、3'-OH末端と5'-デオキシリボースリン酸残基を生成する。1 この反応によって生じた3'-OH末端は、DNAポリメラーゼがDNA鎖を伸長するための起点として利用される。 その後、DNAリガーゼなどの他の修復関連タンパク質が働き、正常なDNA配列へと完全に修復される仕組みになっている。

ヒトをはじめとする真核生物においては、代表的な酵素としてAPE1(Apoptosis-1 endonucleaseやApurinic/apyrimidinic endonuclease 1とも呼ばれる)が広く知られており、核内だけでなくミトコンドリア内におけるDNA修復にも関与している。3 また、大腸菌などの原核生物においても類似の機能を持つ酵素(Exonuclease IIIやEndonuclease IVなど)が存在し、生物の進化を通じて高度に保存されてきた重要な遺伝子機能である。

近年の分子生物学や医学の研究により、脱プリン脱ピリミジン部位エンドヌクレアーゼの活性異常や遺伝子変異が、がんの発症リスクや神経変性疾患などの病態と深く関連していることが明らかにされつつある。 特にがん治療の分野では、放射線療法や化学療法に対するがん細胞の抵抗性に関与することから、本酵素を標的とした阻害剤の開発が進められており、抗がん剤の効果を高めるための重要な分子標的として大きな注目を集めている。

参考文献・出典

  1. J-GLOBAL 科学技術総合リンクセンター: https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=200907036495333190 ↩1 ↩2
  2. 厚生労働省 e-ヘルスネット: https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-041.html ↩
  3. J-GLOBAL 科学技術総合リンクセンター: https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=201007025816921389 ↩