HEALTH WORDS / 用語解説
脳白質脳症
Leukoencephalopathy
脳白質脳症とは、中枢神経系の髄鞘(ミエリン)やグリア細胞に障害が生じ、脳白質に異常をきたす疾患群の総称である。1
脳の神経線維を取り巻く髄鞘は、神経インパルスを効率よく伝導するために不可欠な構造であるが、遺伝子変異、代謝異常、感染症、免疫異常、虚血、中毒など多様な原因によってミエリンの破壊や形成不全が引き起こされる。1
臨床症状としては、白質の障害部位や広がり方に応じて、認知機能障害、歩行障害、運動失調、痙縮、視力障害、排尿障害など多彩な神経症状が出現する。1
本症群には、副腎白質ジストロフィーやメトクロマチック白質ジストロフィーなどの遺伝性白質脳症(白質形成不全症)が含まれるほか、高齢者に見られる動脈硬化や高血圧に起因する虚血性のビンシャービン病(Binswanger病)や白質高信号域を伴う脳血管障害も広く脳白質脳症的概念に含まれる。2
さらに、免疫抑制状態の患者においてJCウイルスの再活性化を原因として引き起こされる進行性多巣性白質脳症(PML)や、頭部外傷、薬物中毒、放射線治療の副作用として二次的に発症するものなど、その病因は極めて多岐にわたる。1
診断においては、頭部MRI検査が極めて重要な役割を果たし、T2強調画像やFLAIR画像において脳白質の広範囲な高信号域として描出される。2
遺伝性の疾患については、遺伝子検査や責任遺伝子の特定が進められているが、多くの白質脳症において根治的な治療法は確立されておらず、対症療法やリハビリテーション、造血幹細胞移植、酵素補充療法などが病態に応じて選択される。1
参考文献・出典
- 難病情報センター: https://www.nanbyo.or.jp/uploads/shoudousan/01_03_01_02.pdf ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5
- 厚生労働省 難治性疾患等政策研究事業: https://kompas.hosp.keio.ac.jp/contents/medical_info/bien/000282.html ↩1 ↩2