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HEALTH WORDS / 用語解説

脳表

Cerebral cortex surface / Brain surface

脳表とは、脳の最外層を覆う組織の表面を指す言葉であり、主に大脳の表面である大脳皮質の露出部を意味する。1

ヒトをはじめとする哺乳類の中枢神経系において、脳表は髄膜によって保護されている。2 髄膜は内側から軟膜、クモ膜、硬膜の3層構造をなし、脳表と頭蓋骨の間に存在して脳脊髄液を保持している。3

脳表の最大の特徴は、平滑ではなく多数の溝と隆起が入り組んでいる点である。1 脳梁の周囲や大脳表面において、溝は脳溝(または裂)と呼ばれ、隆起した部分は脳回と呼ばれる。4 このような複雑な構造をとることで、限られた頭蓋骨の容積のなかで神経細胞が存在する表面積を飛躍的に拡大させることが可能となっている。1

脳表を構成する大脳皮質は、系統発生学的な歴史や構造の違いから、新皮質、古皮質、原皮質に大別される。5 ヒトの脳表の大部分は6層構造を持つ新皮質によって占められており、ここは感覚情報の処理、運動の指令、認知、言語、記憶などの高次脳機能を担う中枢として機能する。1

また、脳表には脳の代謝を維持するために不可欠な豊富な血管網が走行している。5 内頚動脈や椎骨動脈から分岐した動脈群がクモ膜下腔を通り、細かく枝分かれしながら脳表の軟膜上に広がり、脳実質へと血液を供給している。6 これらの血管は血液脳関門を形成し、有害物質が脳内へ侵入するのを防ぐとともに、酸素やグルコースなどの栄養素を神経細胞へ効率的に供給する役割を果たしている。5

臨床医学の領域において、脳表の状態を観察・評価することは、様々な脳疾患の診断や脳神経外科手術において極めて重要である。6 例えば、外傷による硬膜下血腫やクモ膜下出血では、脳表が血液によって圧迫されたり覆われたりすることで、神経症状や頭蓋内圧亢進症状を引き起こす。6 さらに、てんかんの外科治療においては、脳表に直接電極を置いて脳波を記録する硬膜下電極留置術などが行われ、異常発作の焦点を特定するために脳表の精密な機能マッピングが実施される。7

参考文献・出典

  1. 脳科学辞典: https://bsd.neuroinf.jp/wiki/大脳皮質 ↩1 ↩2 ↩3 ↩4
  2. 解剖学講義: https://www.ncnp.go.jp/index.html ↩
  3. 標準解剖学: https://www.jstage.jst.go.jp/article/anatas/65/2/65_105/_pdf ↩
  4. 解剖学用語: https://www.anat-用語.jp ↩
  5. 標準生理学: https://webview.isho.jp/book/iv/10.1147/9784260034432 ↩1 ↩2 ↩3
  6. 脳神経外科学: https://www.jns.gr.jp/archives/guideline/ ↩1 ↩2 ↩3
  7. 日本てんかん学会: https://jes-site.org/guideline/ ↩