HEALTH WORDS / 用語解説
腫瘍壊死因子受容体
Tumor Necrosis Factor Receptor
腫瘍壊死因子受容体とは、腫瘍壊死因子(TNF)ファミリーのリガンドと結合し、細胞のアポトーシス誘導、生存、分化、あるいは炎症応答などの多様なシグナル伝達を仲介する細胞膜受容体の総称である1。
この受容体ファミリーに属するタンパク質は、細胞外ドメインに特徴的なシステインリッチリピート構造を有しており、膜貫通領域を介して細胞内ドメインへとシグナルを伝達する1型膜タンパク質としての性質を示すことが多い2。
代表的な分子として、TNFR1(TNF受容体1型)およびTNFR2(TNF受容体2型)が広く知られており、これらは免疫系の細胞や上皮細胞をはじめとする多様な組織に発現している1。
TNFR1は細胞死を誘導するデスドメインを細胞内側に有しており、リガンドの結合によってカスパーゼカスケードを活性化し、アポトーシスを引き起こす中心的役割を担う2。
一方、TNFR2は主に細胞の生存や増殖を促すシグナルを伝達し、TRAFファミリータンパク質を介してNF-κB経路を活性化することで免疫応答の調節に寄与している2。
これらの受容体を介したシグナル伝達異常は、関節リウマチや炎症性腸疾患などの自己免疫疾患や慢性炎症性疾患の病態形成に深く関与していることが明らかにされている1。
そのため、腫瘍壊死因子受容体やそのリガンドの働きを標的とした抗体医薬品などの分子標的薬が開発され、臨床現場における難治性疾患の治療薬として広く応用されている1。
参考文献・出典
- 独立行政法人科学技術振興機構: https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=200906014498335022 ↩1 ↩2 ↩3 ↩4
- 独立行政法人科学技術振興機構: https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=201007025813350613 ↩1 ↩2 ↩3