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HEALTH WORDS / 用語解説

血栓回収療法

Thrombectomy / Mechanical Thrombectomy

血栓回収療法とは、脳梗塞の急性期において脳血管に詰まった血栓や塞栓子を、カテーテルなどの医療機器を用いて物理的に回収または吸引し、血流を再開させる血管内治療である。1 急性期脳梗塞に対する標準的な治療法の一つとして、脳神経外科や脳血管内治療の領域で広く行われている。2

血栓回収療法の主な対象となるのは、主幹動脈閉塞症による重症の脳梗塞患者である。1 脳血管の内腔が血栓によって完全に閉塞すると、その先にある脳組織への血液供給が断たれ、虚血性の神経細胞死が急速に進行する。2 従来は血栓溶解薬であるrt-PAを用いた静脈内投与療法が中心であったが、太い血管が閉塞した症例では再灌流を得られないことが少なくなかった。1 血栓回収療法の登場により、従来は予後不良であった太い血管の閉塞例においても、高い確率で血管の開存と血流の回復が得られるようになった。2

治療の手技としては、通常、局所麻酔あるいは全身麻酔の下で、大腿部の動脈などからカテーテルと呼ばれる細い管を挿入する。1 X線透視下でカテーテルを頭部の脳血管まで誘導し、閉塞部位に到達させる。2 その後、ステント型血栓回収機器(ステントレトリーバー)と呼ばれる網状の金属デバイスを血栓に展開して絡め取る方法や、吸引カテーテルを用いて血栓を陰圧により直接吸引する方法などを用いて、血栓を体外へと回収する。1 これらの手技を単独あるいは組み合わせて用いることで、血管の閉塞を解除する。2

治療の適応にあたっては、発症からの経過時間が極めて重要な要素となる。1 一般に、発症後一定の時間内(通常は発症から24時間以内など)であり、画像検査によってペナンブラと呼ばれる救命可能な脳組織が残存していることが確認された患者が適応となる。2 時間経過とともに脳梗塞の範囲が拡大し、出血性合併症のリスクも高まるため、迅速な診断と治療体制の構築が必要とされる。1

血栓回収療法は、患者の機能予後を改善し、寝たきり状態や重度の障害を回避するために非常に高い効果を示す一方で、手技に伴う合併症にも注意が必要である。2 主な合併症としては、血管穿孔や血管損傷、塞栓子の遠位移動、そして再灌流後出血などが挙げられる。1 そのため、脳血管内治療の十分な知識と技術を持った専門医や、関連職種によるチーム医療体制のもとで慎重に実施されるべき治療法である。2

参考文献・出典

  1. 日本脳卒中学会: https://www.jsts.gr.jp/file/kassen_kaishu_2019.pdf ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8
  2. 厚生労働省: https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001112852.pdf ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8