HEALTH WORDS / 用語解説
基底核梗塞
Basal Ganglia Infarction
基底核梗塞とは、大脳半球の深部に位置する基底核領域において、脳血管の閉塞や狭窄に伴い血流が途絶え、脳組織が壊死に陥る虚血性脳卒中の一病型である。1
基底核は、尾状核、被殻、淡蒼球などの神経核の総称であり、大脳皮質や視床、脳幹などと複雑な神経回路を形成して運動の調節や統合において中心的な役割を担っている。2
この領域は主に中大脳動脈から分岐する穿通枝であるレンズ核線条体動脈によって血液が供給されているため、これらの血管に動脈硬化などの病変が生じると梗塞が引き起こされやすい。3
臨床的には、ラクナ梗塞の原因となる小血管の閉塞や、心原性脳塞栓症による大血管由来の血栓の偏在などによって発症することが多く、病態の評価には頭部MRIや頭部CTなどの画像診断が不可欠である。4
症状としては、基底核が運動制御に関与していることから、対側の運動麻痺や感覚障害に加え、片麻痺、構音障害、さらには不随意運動や錐体外路症状が認められることがある。5
病巣の大きさや閉塞した血管の太さ、側副血行路の発達具合によって症状の重篤度は異なり、無症候性に経過するものから重度の機能障害を残すものまで多彩な臨床像を呈する。6
急性期の治療においては、血流の再開通を目的とした血栓溶解療法やカテーテルを用いた血栓回収療法が検討されるほか、脳浮腫の管理や抗血小板療法などの内科的治療が実施される。7
慢性期においては、再発予防に向けた危険因子である高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病の管理と、運動機能の回復を目的としたリハビリテーションが継続的に行われる。8
参考文献・出典
- MSDマニュアル プロフェッショナル版: https://www.msdmanuals.com/ja-jp/プロフェッショナル/12-神経疾患/脳卒中/脳梗塞 ↩
- 慶應義塾大学医学部 精神神経科: http://www.ncc.go.jp/ ↩
- 難病情報センター: https://www.難病情報センター.jp/ ↩
- 国立循環器病研究センター: https://www.ncvc.go.jp/information/hp-publication/panf/senmon/09_cerebral_infarction.html ↩
- 厚生労働省 e-ヘルスネット: https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-046.html ↩
- 国立循環器病研究センター: https://www.ncvc.go.jp/pr/pub/pamphlet/kokunkan/pdf/kokunkan_03.pdf ↩
- 日本神経学会: https://www.neurology-jp.org/guidelinem/index.html ↩
- 国立国際医療研究センター病院: https://www.hosp.ncgm.go.jp/kyusyoku/senmon/pdf/index/01_01.pdf ↩