HEALTH WORDS / 用語解説
血液由来感染症
Blood-borne infections
血液由来感染症とは、病原体に汚染された血液や体液が、皮膚の損傷部や粘膜を介して体内に侵入することにより伝播する感染症の総称である。1
医療現場における針刺し事故や切創事故、注射器の共用、輸血、母子感染などが主な感染経路となる。2
代表的な原因ウイルスとして、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、およびヒト免疫不全ウイルス(HIV)が挙げられる。1
これらのウイルスは、ごく微量の血液であっても感染を成立させる能力を有しているため、医療従事者や救急救命士などの職業従事者にとって重要な職業感染のリスクとなっている。2
B型肝炎ウイルスは急性肝炎や慢性肝炎を引き起こし、肝硬変や肝細胞癌へと進展する場合があるが、ワクチン接種によって予防が可能である。2
C型肝炎ウイルスは感染すると持続的な感染になりやすく、無症状のまま経過して肝硬変や肝癌を惹起することが特徴である。1
ヒト免疫不全ウイルスは免疫系のT細胞(特にCD4陽性T細胞)を破壊し、日和見感染症や悪性腫瘍を合併する後天性免疫不全症候群(AIDS)を引き起こす。2
医療現場における血液由来感染症の予防対策としては、すべての患者の血液や体液に感染性があるものとして取り扱う標準予防策(スタンダードプリコーション)の徹底が極めて重要である。1
具体的には、手洗いの励行、手袋やマスク、ゴーグルなどの個人防護具の適切な使用、および医療廃棄物の安全な処理やリキャップの禁止などが実践されている。2
万が一、医療従事者が針刺し事故等によって血液に曝露した場合には、速やかに洗浄と消毒を行い、感染源となった患者のウイルス検査や、曝露後予防内服、抗体検査などの適切な事後措置が講じられる。1
輸血用血液製剤に対する安全対策も進められており、核酸増幅検査(NAT)の導入によってウィンドウ期にあるウイルスの検出感度が向上し、血液製剤を介した感染リスクは大幅に低減されている。2