HEALTH WORDS / 用語解説
陰圧室
Negative pressure room
陰圧室とは、室内の気圧を隣接する通路や室外よりも低く保つことで、室内の空気が外へ漏れ出さないように制御された特殊な病室や処置室である。1
医療機関における感染症対策、特に空気感染や飛沫核感染を引き起こす病原体の伝播を防ぐために不可欠な医療施設の設備として利用されている。1
陰圧室の基本的な構造上の特徴は、室内の空気が室外へ直接流出しない気圧勾配の維持にある。2
室内の空気を排出する際には、HEPAフィルターなどの高性能なフィルターを通して空気清浄を行い、原則として屋外の安全な場所へ直接排気するか、適切に処理した上で循環させるシステムが採用されている。2
この換気システムにより、室内の換気回数は厳密に管理されており、一般的に1時間あたり一定回数以上の換気が行われるよう設計されている。1
室内の気圧が低く維持されているため、ドアが開閉した際にも、空気が外から中へ流れ込むことはあっても、室内の汚染された空気が廊下などの共有スペースへ漏れ出すリスクを最小限に抑えることができる。1
このような気圧の制御と空気清浄の仕組みにより、結核や麻疹、水痘といった空気感染対策が必要な疾患の患者を収容するために用いられる。1
また、新興感染症や未知の呼吸器感染症が発生した際にも、院内感染を防止するための主要な隔離病室として機能する。1
陰圧室の運用においては、単に気圧を陰圧に保つだけでなく、差圧計などを用いて気圧差が適切に維持されているかを常時監視し、記録することが求められる。2
医療従事者が陰圧室に入退室する際にも、個人防護具の適切な着脱や、前室と呼ばれる緩衝空間の活用など、厳格な感染管理プロトコルを遵守する必要がある。1