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HEALTH WORDS / 用語解説

非LTR型レトロトランスポゾン

Non-LTR retrotransposon

非LTR型レトロトランスポゾンとは、両端に長末端反復配列(LTR)を持たないレトロトランスポゾンの一種であり、ゲノム上の別の場所へ移動する際にRNA中間体を介して逆転写機構を利用する可動遺伝因子である。1

真核生物のゲノムにおいて、非LTR型レトロトランスポゾンは主要なDNA構成要素の一つとして広く存在している。2

これらは自律的に転移を行うことができるものだけでなく、タンパク質をコードする領域を欠損しているために非自律的なものも含まれる。1

ヒトを含む哺乳類のゲノム解析においては、この非LTR型レトロトランスポゾンに分類されるLINE(長文散在反復配列)やSINE(短文散在反復配列)といった配列が、ゲノム全体の相当な割合を占めていることが明らかにされている。2

非LTR型レトロトランスポゾンの転移メカニズムは、一般に「標的部位プライム逆転写(TPR)」と呼ばれる機構によって進行する。1

このプロセスでは、エンドヌクレアーゼ活性を持つ酵素がゲノム上の特定のDNA部位を切断し、それに伴って生じた3'水酸基をプライマーとして利用しながら、自身のRNAを鋳型とした逆転写反応が直接ゲノムDNA上で引き起こされる。1

このような特異的な挿入機構を持つため、非LTR型レトロトランスポゾンがゲノム内に組み込まれる際には、標的部位の塩基配列重複や、5'側が途中で切断された不完全な配列の生成といった構造的な特徴が頻繁に観察される。1

非LTR型レトロトランスポゾンの活動は、宿主の遺伝子発現や染色体構造の維持に対して多様な影響を及ぼす。2

多くの場合、ゲノム内の「ジャンクDNA」あるいは「利己的遺伝子」として扱われ、過剰な転移や挿入は遺伝子機能の破壊や遺伝疾患を引き起こす原因となることがある。2

一方で、長年の進化の過程において、非LTR型レトロトランスポゾンに由来する配列の一部は宿主の生理機能や遺伝子調節ネットワークに組み込まれ、ゲノムの進化や多様性の創出に対して重要な役割を果たしてきたことも示唆されている。1

参考文献・出典

  1. 東京大学 大学院新領域創成科学研究科 メディカル情報生命専攻 鈴木・熊谷研究室: https://www.edu.k.u-tokyo.iojp/laboratory/suzuki_kumagai/ ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6
  2. 独立行政法人製品評価技術基盤機構 経済産業省: https://www.nite.go.jp/data/000055171.pdf ↩1 ↩2 ↩3 ↩4