HEALTH WORDS / 用語解説
CD1d
CD1d
CD1dとは、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)クラスI分子に構造的類似性を持つ、糖脂質抗原を提示する非古典的MHCクラスI分子である。1 2
CD1ファミリーにはグループ1(CD1a、CD1b、CD1c)とグループ2(CD1d)が存在し、ヒトなどの哺乳動物においてCD1dはこのグループ2に分類される唯一のアイソフォームである。2 3
CD1d分子は小胞体で合成された後、β2ミクログロブリンと非共有結合的に複合体を形成して細胞表面へと輸送される。1
CD1dの最大の特徴は、ペプチドではなくスフィンゴ糖脂質やグリセロ糖脂質をはじめとする疎水性の高い脂質抗原や糖脂質抗原を結合してT細胞に提示する点にある。2 3
細胞表面に発現したCD1dは、主としてナチュラルキラーT細胞(NKT細胞)、特にiNKT細胞(invariant NKT細胞)に対して自己由来および外来の脂質抗原を提示する役割を担う。2 3
iNKT細胞はT細胞受容体(TCR)の多様性が限られており、CD1d上に提示されたα-ガラクトシルセラミド(α-GalCer)などの糖脂質を特異的に認識することで活性化される。3
活性化されたiNKT細胞は、インターフェロンγやインターロイキン-4をはじめとする多量のサイトカインを迅速に産生し、ヘルパーT細胞、細胞傷害性T細胞、B細胞、樹状細胞、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)などの免疫系の他の構成要素を二次的に活性化または制御する。3
このような特性から、CD1dを介した抗原提示経路は自然免疫と獲得免疫をつなぐ重要な橋渡し役として機能している。3
CD1dの発現は、抗原提示細胞である樹状細胞、マクロファージ、B細胞のほか、一部の上皮細胞や内皮細胞などの非免疫系細胞においても確認されている。1 3
生体内におけるCD1dおよびNKT細胞の働きは、感染症に対する防御応答だけでなく、自己免疫疾患の制御、腫瘍免疫(がんに対する免疫応答)、アレルギー反応の調節など、多様な免疫応答の病態生理学において極めて重要な意義を持つ。3