HEALTH WORDS / 用語解説
CYP2B6
CYP2B6
CYP2B6とは、主に肝臓に発現し、多様な臨床薬剤や生体外異物の代謝に関与するシトクロムP450(CYP)酵素ファミリーの主要な構成要素の一つである。1
ヒトCYP2B6遺伝子は第19染色体の長腕(19q13.2)に位置しており、その発現量や酵素活性には顕著な遺伝子多型および個体間変動が認められる。2
かつては肝臓における発現量が少ないと考えられていたが、現在では臨床的に重要な多くの基質薬物の代謝において主要な役割を果たしていることが明らかにされている。3
CYP2B6が代謝に関与する薬物の代表例としては、抗HIV薬であるエファビレンツやネビラピン、抗悪性腫瘍薬であるシクロホスファミドおよびイホスファミド、中枢神経系に作用するブプロピオンやメタドンなどが挙げられる。4
特にエファビレンツの血中濃度管理においては、CYP2B6の遺伝子多型(*6など)が代謝活性の低下を引き起こし、副作用の発現リスクに強く影響することが知られている。5
また、本酵素は遺伝的多型だけでなく、様々な薬物やホルモンによる転写調節を介した誘導を受ける特性を持っている。6
例えば、リファンピシンやフェノバルビタールなどの肝臓の核受容体を刺激する薬剤によってCYP2B6の発現が亢進し、併用する薬剤のクリアランスが変動することで薬物相互作用を引き起こす原因となる。4
このように、CYP2B6は薬物動態学および薬理学の分野において、個別の治療薬の有効性や安全性を左右する極めて重要な生体防御酵素の一つとして位置づけられている。3
参考文献・出典
- NCBI Gene: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/gene/1555 ↩
- PharmVar: https://www.pharmvar.org/gene/CYP2B6 ↩
- PMID: 12580718: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/12580718/ ↩1 ↩2
- PharmGKB: https://www.pharmgkb.org/chemical/PA449080 ↩1 ↩2
- PMID: 18511930: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18511930/ ↩
- NCBI Bookshelf: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK547847/ ↩