HEALTH WORDS / 用語解説
FABP4
Fatty acid-binding protein 4
FABP4とは、主に脂肪細胞やマクロファージに多量に発現し、脂肪酸などの疎水性リガンド可逆的に結合して細胞内輸送を行う細胞質型タンパク質ファミリーの一種である。1 アディポサイト型脂肪酸結合タンパク質(aP2)とも称され、脂肪酸の代謝制御やシグナル伝達において重要な役割を担っている。2
構造面においては、FABP4は細胞質ゾルにおいて疎水性分子を結合するためのβ桶構造(ベータバレル構造)を形成しており、生理活性物質の細胞内キャリアとして機能する。1 従来は細胞内部で脂質代謝を補助する因子として認識されていたが、近年の研究により脂肪細胞から血中へ分泌されるメカニズムが存在することが明らかになっている。2
病態生理学的な観点において、FABP4は肥満、インスリン抵抗性、2型糖尿病、および動脈硬化症などの生活習慣病や代謝性疾患の病態形成に深く関与していることが示されている。2 過剰な栄養摂取や肥満状態に伴い脂肪細胞が肥大化すると、FABP4の発現や血中濃度が著しく上昇し、全身の慢性炎症や糖脂質代謝の破綻を誘導することが知られている。2
また、マクロファージにおけるFABP4は、泡沫細胞の形成や炎症性サイトカインの産生を促進し、血管壁におけるプラークの進展を悪化させるため、心血管疾患のバイオマーカーや創薬標的としても注目を集めている。2 このように、FABP4は単なる脂質の貯蔵・輸送因子にとどまらず、代謝と免疫系をクロストークさせる中心的分子として医学・生物学の幅広い領域で研究が進められている。1
参考文献・出典
- PDBj 今月の分子: https://pdbj.org/mom/255 ↩1 ↩2 ↩3
- NBDC 研究データクラウド: https://integbio.jp/rdf/hinv/property/hinv_14497 ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5