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HEALTH WORDS / 用語解説

GABA_A受容体

GABA_A receptor

GABA_A受容体とは、中枢神経系における主要な抑制性の神経伝達物質であるGABA(ガンマ-アミノ酪酸)に特異的に結合し、細胞膜のイオンチャネルを透過させることで神経細胞の興奮を抑制するリガンド作動性イオンチャネル型受容体である。1

この受容体は、主にCl-(塩化物イオン)を選択的に透過させるチャネルとして機能しており、GABAが結合して受容体が活性化されると、Cl-が細胞内へと流入する。2

Cl-が細胞内に流入することで、神経細胞の膜電位は過分極を引き起こし、活動電位の発生が抑制されるため、脳全体の神経活動のバランスを保つ上で極めて重要な役割を果たしている。2

構造的には、GABA_A受容体は5つのサブユニットが集合して構成される五量体のタンパク質であり、哺乳類の脳内ではα、β、γ、δ、ε、π、θ、ρといった多様なサブユニットの組み合わせが存在している。2

一般的には2つのαサブユニット、2つのβサブユニット、1つのγサブユニットからなる組み合わせが最も多く存在し、この多様なサブユニット構成が受容体の薬理学的特性や脳内での局在を多様化させている。1

GABA_A受容体はGABAが結合するオルソステリック部位の他にも、様々なアロステリック部位(調節部位)を保有しており、多くの臨床的に重要な薬物の標的分子となっている。2

例えば、ベンゾジアゼピン系薬剤やバルビツール酸系薬剤、一部の全身麻酔薬やアルコールなどは、このアロステリック部位に結合することによってGABAの受容体に対する親和性を高め、Cl-チャネルの開口頻度や開口時間を延長させる。2

これにより、これらの薬物は強力な抗不安作用、鎮静作用、筋弛緩作用、抗てんかん作用などを発揮する仕組みになっており、現代の精神医学や麻酔科学において不可欠な作用機序を提供している。1

一方で、GABA_A受容体の機能異常や遺伝子変異は、てんかん、不安障害、睡眠障害、統合失調症などの様々な神経疾患や精神疾患の発症に関与していることが示唆されており、創薬の重要なターゲットとしても研究が進められている。2

また、発生段階や神経回路の成熟度によっても発現するサブユニットの構成が変化し、これに伴ってGABAの作用が「抑制性」から「興奮性」へと変化する場合があることも、近年の神経科学研究によって明らかにされている。1

参考文献・出典

  1. 生物物理: https://www.jstage.jst.go.jp/article/biophys/44/2/44_2_076/_pdf ↩1 ↩2 ↩3 ↩4
  2. 脳科学辞典: https://bsd.neuroinf.jp/wiki/GABA_A%E5%_9F%_97%_B9%_BD%_4F ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6