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HEALTH WORDS / 用語解説

LRP5

LRP5とは、低比重リポ蛋白受容体関連タンパク質5(Low-density lipoprotein receptor-related protein 5)の略称であり、細胞膜上に存在してWntシグナル伝達経路の受容体として機能する1回膜貫通型タンパク質である。1 骨形成の調節において極めて重要な役割を果たしており、骨芽細胞の増殖や分化を促進することで骨密度の維持や骨の強度向上に寄与している。2

LRP5遺伝子は人間の第11染色体の長腕(11q13.2)に位置している。1 この遺伝子の変異は、骨代謝に異常をきたす複数の遺伝性疾患の原因となることが知られている。 例えば、LRP5遺伝子の機能喪失変異が生じると、骨芽細胞の働きが低下し、骨形成が十分に行われなくなるため、著しい骨密度の低下と骨折しやすい脆弱性を特徴とする骨粗鬆症・偽骨硬化症候群や骨抜け症などの疾患を引き起こす。3

反対に、LRP5遺伝子に機能獲得変異が生じた場合には、Wntシグナル伝達経路が過剰に活性化される結果、骨形成が異常に亢進する。4 これにより骨密度が生涯にわたって極めて高くなり、骨が過剰に分厚く硬くなる常染色体優性骨硬化症や骨幹端骨硬化症などの疾患を発症することが報告されている。2 このように、LRP5によるシグナル伝達のバランスは、人体における骨の恒常性を保つ上で極めて精緻にコントロールされている。

骨組織以外においても、LRP5は多様な生理機能に関与していることが近年の研究で明らかにされている。 特に眼の発生や発達において重要な役割を持っており、網膜の血管形成に関与している。5 そのため、LRP5の遺伝子異常は、網膜の血管発達不全を伴う家族性滲出性玻璃体網膜症(FEVR)などの眼疾患の原因ともなる。1 また、糖代謝や脂質代謝といった代謝系の調節にも関与していることが示唆されており、インスリン分泌や耐糖能への影響についても医学および生物学の分野で盛んに研究が行われている。6

臨床医学の領域において、LRP5は骨粗鬆症の治療薬開発や診断における重要な標的分子として注目されている。7 LRP5を介したWntシグナル伝達を調節する薬剤の開発が進められており、骨密度が低下した患者に対する新しい治療法の確立に向けた臨床試験や基礎研究が続けられている。6

参考文献・出典

  1. National Center for Biotechnology Information: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/gene/4041 ↩1 ↩2 ↩3
  2. 遺伝医学ポータルサイト: https://grj.mhlw.go.jp/ ↩1 ↩2
  3. National Center for Biotechnology常設データベース: https://www.omim.org/entry/603506 ↩
  4. 国立成育医療研究センター: https://www.ncchd.go.jp/ ↩
  5. 国立国会図書館サーチ(医学論文情報): https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-18K08343/ ↩
  6. 国立研究開発法人日本医療研究開発機構: https://www.amed.go.jp/ ↩1 ↩2
  7. 国立研究開発法人科学技術振興機構: https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspb/28/2/28_103/_pdf ↩