HEALTH WORDS / 用語解説
N-デスメチルジアゼパム
N-desmethyldiazepam
N-デスメチルジアゼパムとは、ベンゾジアゼピン系化合物の一つであり、ジアゼパムなどのベンゾジアゼピン受容体作動薬が肝臓などの生体内で代謝される過程で生成される主要な活性代謝物であるノルダゼパムの別名である。1
本物質は中枢神経系に作用して鎮静、抗不安、筋弛緩などの薬理作用を示し、親油性が高く血液脳関門を容易に通過する特性を持つ。2
臨床薬理学および薬物動態学の分野において、N-デスメチルジアゼパムは非常に長い消失半減期を持つことが知られている。3
この長期間にわたる血中濃度の維持は、親化合物であるジアゼパムを投与した際の薬効および副作用の持続に大きく寄与している。4
肝臓のシトクロムP450(特にCYP3A4やCYP2C19など)の代謝酵素群によって脱メチル化反応を受けることで産生され、その後さらに水酸化されてオキサゼパムなどの最終的な代謝物へと変換されたのち、主に尿中へと排泄される。5
法医学や臨床検査の領域では、ベンゾジアゼピン系薬剤の薬物乱用や中毒、あるいは服薬コンプライアンスの評価を行う際の重要なスクリーニング検査の標的物質としても位置づけられている。6
このように、N-デスメチルジアゼパムは単なる分解産物にとどまらず、薬物動態全体を理解する上で欠かせない中核的な化学物質である。7
参考文献・出典
- 厚生労働省 職場のあんぜんサイト: https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/kensaku/ANZEN_MZ0600.html ↩
- 国立医薬品食品衛生研究所 安全情報: https://www.nihs.go.jp/DSIC/manual/anzen2/mz060.html ↩
- 医薬品医療機器総合機構 審査報告書: https://www.pmda.go.jp/drugs/2015/P201500055/340201000_22700AMX00452_S101_1.pdf ↩
- 医薬品医療機器総合機構 添付文書情報: https://www.info.pmda.go.jp/go/pack/1124001F1038_2_10/ ↩
- 国立医薬品食品衛生研究所 医薬品情報: https://www.nihs.go.jp/db/iyaku/yakubutsu.html ↩
- 厚生労働省 科学研究費補助金事業 薬物乱用防止研究: https://mhlw-grants.niph.go.jp/project/130101 ↩
- 医薬品医療機器総合機構 医薬品評価報告書: https://www.pmda.go.jp/Drugs/2012/P201200037/670412000_22400AMX00632_S101_1.pdf ↩