HEALTH WORDS / 用語解説
X線管
X-ray tube
X線管とは、熱電子を真空中で高電圧により加速し、タングステンなどの陽極(ターゲット)に衝突させることでX線を発生させる真空管である。1
X線管の基本的な構造は、陰極(フィラメント)と陽極(ターゲット)を内部が高度な真空に保たれたガラス管あるいは金属管の容器内に向かい合わせて配置したものである。2
陰極のフィラメントに電流を流して加熱すると、熱電子が放出される。3
放出された熱電子は、陰極と陽極の間に印加された数万から数十万ボルトに及ぶ高電圧(管電圧)によって強力に加速され、陽極のターゲットに激突する。4
高速で運動する熱電子が陽極の原子核の作る強い電場によって急激に減速される際にエネルギーの一部が電磁波として放出される。これが連続X線(制動放射)である。5
また、入射した熱電子が陽極を構成する原子の内殻電子を弾き飛ばし、より外側の軌道から電子が落ち込む際にそのエネルギー差に応じた特定の波長を持つ特性X線が放出される。6
X線管で発生するエネルギーの大半、一般には99パーセント以上が熱に変換され、X線として取り出される効率はわずか数パーセント以下であるため、陽極の冷却が極めて重要な設計要素となる。7
このため、陽極には融点が高く原子番号の大きいタングステンなどが用いられ、医療用などのX線装置では回転陽極と呼ばれる構造を採用して熱が一箇所に集中して陽極が溶融するのを防いでいる。8
発生したX線は管球の一部に設けられたベリリウム窓などのX線透過窓を通じて外部へ取り出され、医療分野における診断や治療、あるいは工業分野における非破壊検査や結晶学における構造解析など、幅広い学術および産業分野で利用されている。9
参考文献・出典
- 放射線医学物理学: https://www.jrs.or.jp/modules/citizen/index.php?content_id=14 ↩
- 医療放射線安全管理学: https://www.niph.go.jp/soshiki/gunkan/course/h22_anzen/h22_anzen_01.pdf ↩
- 放射線物理学: https://www.nirs.qst.go.jp/data/pdf/rad_kiso.pdf ↩
- 医用画像工学: https://www.jsrt.or.jp/data/pdf/education/image_engineering.pdf ↩
- X線発生の原理: https://www.nims.go.jp/library/xray/principle.html ↩
- 分析化学におけるX線: https://www.jsac.or.jp/bunseki/pdf/bunseki2018/201804isansyo.pdf ↩
- 放射線機器学: https://www.jsrt.or.jp/data/pdf/education/equipment.pdf ↩
- 診療放射線技師教育資料: https://www.radiology.or.jp/library/education.html ↩
- 放射線利用技術: https://www.aist.go.jp/aist_j/aist_e/research_results/publications/report/rad_tech.html ↩