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HEALTH WORDS / 用語解説

miR-106b

miR-106bとは、ヒトなどのゲノムにコードされるマイクロRNA(miRNA)の一つであり、主に遺伝子発現の翻訳抑制やmRNAの分解を介した転写後調節に関与する非コードRNAである。1 miR-106bは、イントロン領域に位置する宿主遺伝子であるMCM7(ミニクロソーム維持複合体7)とともに転写されることが多く、細胞周期の制御やDNA複製に関わる分子ネットワークと密接に関連している。2

miR-106bは、同じ配列的特徴や標的遺伝子の類似性を持つmiR-17ファミリー(またはmiR-106b-25クラスター)に属するマイクロRNAの一つとして知られている。1 このファミリーには他にmiR-93やmiR-25などが含まれており、これらは哺乳類の発生、細胞増殖、アポトーシスなどの多様な生物学的プロセスにおいて重要な役割を果たしている。2

近年の分子生物学および医学の研究において、miR-106bは様々な悪性腫瘍の発症や腫瘍進展に関与することが示されている。3 がん細胞においては、癌抑制遺伝子を負に制御するオンコマールmiRNA(癌関連miRNA)として機能する場合が多く、細胞増殖の促進、浸潤能や転移能の亢進、さらには抗がん剤に対する薬剤耐性の獲得に寄与することが報告されている。3 一方で、標的遺伝子の種類や細胞の組織特異的な文脈によっては、細胞死を誘導する方向へ働くなど、多様なシグナル伝達経路の調節因子としても注目を集めている。4

また、miR-106bはがんだけでなく、神経変性疾患や代謝異常などの非腫瘍性疾患における病態生理への関与についても研究が進められている。4 血中や細胞外小胞であるエクソソーム中に安定して存在することから、疾患の早期診断や治療効果のモニタリングを行うための非侵襲的なバイオマーカーとしての有用性も検証されている。3 このように、miR-106bの機能解析は、基礎生物学的な遺伝子発現調節メカニズムの解明だけでなく、将来的な核酸医薬の開発や新しい治療戦略の確立に向けた重要な研究対象となっている。4

参考文献・出典

  1. GenBank: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/nuccore/NR_030153.1 ↩1 ↩2
  2. miRBase: https://www.mirbase.org/textsearch/miR-106b/ ↩1 ↩2
  3. PubMed: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21869803/ ↩1 ↩2 ↩3
  4. PubMed: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22415159/ ↩1 ↩2 ↩3