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HEALTH WORDS / 用語解説

p120カテニン

p120 catenin

p120カテニンとは、カテニンファミリーに属するタンパク質の一つであり、細胞間接着装置であるアドヘレンスジャンクション(密着結合)の形成と維持において中心的な役割を果たす分子である12。

分子量は約120 kDaであり、元々はSrcキナーゼの基質として、あるいはチロシンリン酸化タンパク質として発見された歴史を持つ1。

構造的には複数のARMリピート(アルマジロリピート)ドメインを内部に保持しており、この領域を介してカドヘリンの細胞質ドメインと直接結合する性質がある2。

上皮細胞などにおいて、p120カテニンはE-カドヘリンなどの細胞膜上の接着分子と複合体を形成する1。

この結合により、カドヘリン分子がエンドサイトーシスによって細胞質内へ取り込まれて分解されるのを防ぎ、結果として細胞表面におけるカドヘリンの安定性を高めて細胞間接着を強固に保つ働きをしている1。

さらに、p120カテニンは単なる構造タンパク質にとどまらず、細胞骨格の動態制御や細胞運動、さらにはシグナル伝達経路の調節など、多様な細胞機能に関与していることが明らかにされている1。

特にRhoファミリーGTPaseであるRhoA、Rac1、Cdc42などの活性を制御することを通じて、アクチン骨格の再構成や細胞形態の変化に深く寄与している1。

がんの進展や転移のプロセスにおいては、p120カテニンの発現低下や異常局在が頻繁に観察される1。

通常、悪性腫瘍の初期段階や浸潤過程ではE-カドヘリンを介した接着が失われることが多く、それに伴ってp120カテニンの機能も失調し、癌細胞の移動性や悪性度が亢進することが知られている1。

このように、p120カテニンは組織の恒常性維持や形態形成に不可欠であるとともに、腫瘍生物学の分野でも重要な研究対象となっている分子である12。

参考文献・出典

  1. J-GLOBAL 科学技術総合リンクセンター: https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=200902021008064379 ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8 ↩9
  2. 蛋白質構造データバンク: https://pdbj.org/mine/summary/4lhh ↩1 ↩2 ↩3