HEALTH WORDS / 用語解説
sPLA2-ⅡC
Secretory phospholipase A2 group IIC
sPLA2-ⅡCとは、分泌型ホスホリパーゼA2(Secretory phospholipase A2: sPLA2)ファミリーに属する酵素の一つである1。
sPLA2ファミリーは、細胞膜のリン脂質のsn-2位を特異的に加水分解し、アラキドン酸などの遊離脂肪酸とリゾリン脂質を生成する酵素群であり、その構造や遺伝子の系統樹に基づいていくつかのグループに分類されている2。
その中でグループIIC(Group IIC)に分類されるsPLA2-ⅡCは、他のsPLA2アイソフォームと比較して種による構造的・機能的な差異が非常に大きいことが知られている3。
ヒトのゲノムにおいて、PLA2G2C遺伝子は第1染色体上のsPLA2遺伝子クラスター内にコードされている4。
しかしながら、ヒトのPLA2G2C遺伝子には塩基配列上にフレームシフトを伴う変異や終止コドンが含まれているため、一般的には機能蛋白を産生しない偽遺伝子(pseudogene)として認識されている4。
一方で、ラットやマウスなどのげっ歯類をはじめとする一部の哺乳類においては、sPLA2-ⅡCは正常なタンパク質として発現することが確認されており、生体内での何らかの生理学的な役割を担っていると考えられている3。
げっ歯類における解析から、sPLA2-ⅡCは特定の組織、特に精巣や消化管などの臓器において発現していることが示されている1。
このように、霊長類とげっ歯類の間で遺伝子の機能保存状況に大きな種差(evolutionary divergence)が見られる点は、sPLA2ファミリーの進化的背景を考察する上で重要な特徴の一つとなっている3。
細胞外における脂質代謝やシグナル伝達に関与する可能性が指摘されているものの、他のsPLA2分子種であるsPLA2-ⅡAなどと比較して、個体レベルでの詳細な病態生理学的機能や具体的な基質特異性については未解明な部分も多い2。
参考文献・出典
- UniProt: https://www.uniprot.org/uniprotkb/Q9NZ20/entry ↩1 ↩2
- The Journal of Biological Chemistry: https://www.jbc.org/article/S0021-9258(19)49755-X/fulltext ↩1 ↩2
- Biochimica et Biophysica Acta (BBA) - Molecular and Cell Biology of Lipids: https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S138812720600219X ↩1 ↩2 ↩3
- GenBank: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/gene/391012 ↩1 ↩2