HEALTH WORDS / 用語解説
β-ケラチン
Beta-keratin
β-ケラチンとは、爬虫類や鳥類の爬虫類・鳥類が持つ皮膚や鱗、羽毛、爪などの硬組織を構成する主要なタンパク質である。1 従来の哺乳類に見られるα-ケラチンとは異なり、より高い機械的強度や剛性を持つことが特徴として知られている。2
β-ケラチンは分子生物学的な分類において線維状タンパク質の一種であり、その分子構造はβシート構造を主体としている。1 アミノ酸配列の観点からは、グリシンやアラニンなどの比較的小さな側鎖を持つアミノ酸が豊富に含まれており、これが分子同士の密なパッキングと強固な水素結合の形成を可能にしている。2 この特異な構造により、鳥類の羽毛が持つ飛行に耐えうるしなやかさと軽さ、あるいは爬虫類の甲羅や鱗が持つ優れた耐外傷性や防水性といった生体防御機能が実現されている。1
生化学的な研究において、β-ケラチンはハードケラチンとも称されるグループの一部として扱われることがあるが、哺乳類の爪や髪を構成するα-ケラチンを主成分とするケラチンとは遺伝子の系統や進化生物学的起源において明確に区別される。2 近年のゲノム解析やX線回折を用いた構造解析により、多様な脊椎動物の進化の過程で、上皮細胞由来の骨格タンパク質がどのように環境適応のために変化してきたのかを解明する上で、β-ケラチンは重要な研究対象となっている。1