HEALTH WORDS / 用語解説
アクチノバチルス
Actinobacillus
アクチノバチルス属の細菌は、家畜や実験動物などの動物の粘膜、特に口腔内や上気道の常在菌叢を構成することが知られている。1
多くの種が宿主特異性を示し、それぞれの動物種に対して病原性を発揮する日和見感染あるいは原発性の感染症の原因となる。1
代表的な菌種の一つであるアクチノバチルス・プルロニューモニエ(Actinobacillus pleuropneumoniae)は、豚における伝染病である豚胸膜肺炎の原因菌として獣医学の分野で非常に重要視されている。2
この菌は豚の呼吸器系に感染し、出血性および壊死性の胸膜肺炎を引き起こし、畜産業界において大きな経済的損失をもたらす病原体の一つとなっている。2
また、ウマに対して病原性を示すアクチノバチルス・エクリ(Actinobacillus equuli)は、子馬における関節炎、敗血症、髄膜炎などを伴う重篤な感染症である「スリーピー・フォール・ディジーズ(Sleepy foal disease)」の原因菌として知られている。3
さらに、ヒツジなどの反芻動物においては、アクチノバチルス・セミニス(Actinobacillus seminis)が羊の精巣上体炎や生殖器系の疾患を引き起こすことが報告されている。4
形態学的な特徴としては、他のパスツレラ科の細菌と同様に小型の桿菌または球桿菌であり、運動性を持たず、芽胞を形成しない特徴がある。1
生化学的性質としては、カタラーゼ陽性を示すことが多いが、菌種によって性状に多様性が見られるため、同定には詳細な生化学的検査が必要とされる。1
病原性因子としては、外毒素であるシトトキシン(アクトトキシンなど)を産生することが知られており、これが宿主の白血球などを破壊し、組織障害を引き起こす主要な原因となる。2
診断においては、病変部からの菌の分離培養のほか、PCR法などの遺伝子診断手法が動物衛生の現場や研究において広く活用されている。2
予防および治療には各種抗菌薬が使用されるが、近年の薬剤耐性菌の出現が問題視されることもあり、ワクチンの投与による予防対策も重要視されている。2
参考文献・出典
- 国立医薬品食品衛生研究所: https://www.nihs.go.jp/eae/manual/manual_pdf/b_manual/b14.pdf ↩1 ↩2 ↩3 ↩4
- 農林水産省: https://www.maff.go.jp/j/syouan/dou Eisei/kansi_c/attach/pdf/kansi_c-50.pdf ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5
- 農林水産省: https://www.maff.go.jp/j/syouan/dou Eisei/kansi_c/attach/pdf/kansi_c-26.pdf ↩
- 農林水産省: https://www.maff.go.jp/j/syouan/dou Eisei/kansi_c/attach/pdf/kansi_c-38.pdf ↩