HEALTH WORDS / 用語解説
アミリン
Amylin
アミリンとは、膵臓のランゲルハンス島にあるβ細胞からインスリンと共に分泌される37個のアミノ酸からなるペプチドホルモンであり、膵島アミロイドポリペプチド(IAPP)とも称される生理活性物質である。1
アミリンはインスリンと同様に血糖値の調節に関与する重要なホルモンであり、食後の高血糖を防ぐために協調して働く性質を持っている。2
主な生理作用としては、胃からの食物排出速度を遅らせることによる栄養素の吸収速度の抑制や、中枢神経系を介した満腹感の誘導による摂食量の減少などが挙げられ、これによりエネルギーバランスの恒常性維持に寄与している。1
また、肝臓におけるグリコーゲン分解の抑制や糖新生の調節にも関与しており、全身の糖代謝ネットワークにおいて補助的ながらも不可欠な役割を果たしている。2
病態生理学的な観点において、アミリンは2型糖尿病の病態形成と深く結びついており、特に膵臓のランゲルハンス島内においてアミリンが異常に凝集することでアミロイド線維を形成し、膵島アミロイドを構築することが知られている。1
このアミロイドの蓄積はβ細胞に対する細胞毒性を示し、進行性のβ細胞機能低下および細胞死(アポトーシス)を誘導するため、2型糖尿病の病態悪化の主要因の一つとして広く認識されている。2
このようなアミリンの物理化学的特性や線維化のメカニズムを解明することは、タンパク質の異常凝集に関する基礎医学的研究だけでなく、アミロイドーシスなどの疾患に対する病態理解の観点からも重要視されている。1
さらに、ヒトのアミリン構造を基に開発されたアナログ製剤であるプラムリンチドなどは、インスリン治療を行っている糖尿病患者の食後血糖コントロールを改善する治療薬として臨床応用されており、薬理学および臨床医学の領域でも注目を集めている。1