HEALTH WORDS / 用語解説
アンゼリカ
Angelica
アンゼリカとは、セリ科シシウド属(Angelica属)に属する植物の総称、またはその根や茎などの生薬およびハーブとしての利用を指す用語である1。ヨーロッパやアジアの温帯から亜寒帯にかけて広く分布しており、古くから民間薬や食用、香料として利用されてきた歴史を持つ。
植物学的な特徴として、アンゼリカ属の植物は大型の多年草または二年生植物であり、地表近くから太く発達した根を伸ばす。葉は複葉構造をなし、茎の先端には多数の小花が集まった散形花序と呼ばれる特徴的な花を咲かせる。多くの種において、植物体全体に特有の芳香を有する精油成分が含まれており、これが生薬や香料としての利用価値を高めている。
生薬としてのアンゼリカは、主に対象となる植物の根や根茎を乾燥させたものが用いられる。東洋医学および漢方医学の分野では、近縁種であるトウキ(当帰、Angelica acutiloba)などの根が血虚を改善し、血行促進や鎮痛、婦人科系疾患の治療を目的とした漢方薬の処方に広く配合されてきた生薬として知られている2。日本薬局方においてもトウキなどの基原植物が規定されており、医薬品としての品質が厳格に管理されている。
一方、西洋においては、セイヨウニンジンボクの仲間であるセイヨウアンゼリカ(Angelica archangelica)が「天使のハーブ」とも称され、ハーブティーやリキュールなどのアルコール飲料の風味付けに利用されてきた。西洋ハーブとしてのアンゼリカには、健胃作用や消化促進、利尿作用があるとされ、消化器系の不調を緩和するための民間療法に用いられてきた経緯がある。
しかし、アンゼリカの利用には注意すべき点も存在する。アンゼリカ属の植物の組織や精油には、フロクマリン類と呼ばれる光感作物質が含まれていることが多い。この成分が皮膚に付着した状態で太陽光などの紫外線を浴びると、光線過敏症を引き起こし、皮膚炎や色素沈着を生じる危険性が指摘されている。そのため、栽培や採集、アロマテラピーなどの外用における取り扱いには十分な警戒が必要である。
参考文献・出典
- J-GLOBAL 科学技術総合リンクセンター: https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=201007011933939618 ↩
- J-GLOBAL 科学技術総合リンクセンター: https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=200906060130983190 ↩