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HEALTH WORDS / 用語解説

エンドルフィン

Endorphin

エンドルフィンとは、脳下垂体などの中枢神経系や下垂体前葉において産生・分泌される内因性オピオイドペプチドの一種であり、主として鎮痛効果や多幸感の誘導に関与する神経伝達物質およびホルモンである12。

エンドルフィンという名称は、「体内(Endogenous)」と「モルヒネ(Morphine)」を組み合わせたかばん語に由来しており、文字通り「体内でモルヒネ様の作用を示す物質」を意味している1。

分子生物学的な観点から見ると、エンドルフィンは大きな前駆体タンパク質であるプロオピオメラノコルチン(POMC)が限定分解されることによって生成される2。

POMCからは、エンドルフィンだけでなく、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)やメラノサイト刺激ホルモンなども同時に切り出されることが知られている2。

内因性オピオイドペプチドには複数の種類が存在し、代表的なものとしてエンケファリンやダイノルフィンなどが挙げられるが、その中でもエンドルフィン、特にベータ・エンドルフィンは最も強力かつ持続的なオピオイド受容体作動性を示すことで知られている1。

体内におけるエンドルフィンの主要な生理作用の一つは、疼痛の緩和である1。

脳内のオピオイド受容体、特にμ受容体に結合することで、痛覚を伝える神経信号の伝達を抑制し、末梢からの痛みの刺激が中枢神経系へ上行するのをブロックする働きを持つ1。

この機構により、生体が過度なストレスや物理的苦痛、運動負荷に晒された際に、痛みを和らげる防御反応として機能する1。

また、エンドルフィンは報酬系の神経回路にも深く関与しており、分泌されることで快感や多幸感を引き起こす心理的効果をもたらす1。

このような報酬的な作用から、ストレスへの適応やメンタルヘルスの維持においても重要な役割を果たしていると考えられている1。

日常生活や医学的文脈において、エンドルフィンの分泌が促される代表的な状況として、持続的な運動や有酸素運動、いわゆる「ランナーズハイ」の状態が広く知られている1。

激しい身体活動を行うことによって血中のエンドルフィン濃度が上昇し、それが疲労感の軽減や一時的な高揚感、爽快感につながることが生理学的な研究によって示されている1。

さらに、運動以外にも、笑いを伴う社会的行動や辛味物質の摂取、鍼治療などもエンドルフィンの分泌を誘発する要因として挙げられており、これらが心身のリラクゼーションや鎮痛効果に寄与しているという仮説が提唱されている1。

このように、エンドルフィンは生体の恒常性(ホメオスタシス)の維持、痛覚の調節、および情動の安定において極めて重要な生体内物質である12。

参考文献・出典

  1. 厚生労働省 e-ヘルスネット: https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-074.html ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8 ↩9 ↩10 ↩11 ↩12
  2. 国立国会図書館 国立国会図書館リサーチ・ナビ: https://rnavi.ndl.go.jp/jp/blogs/blog_202212-0px.html ↩1 ↩2 ↩3 ↩4