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HEALTH WORDS / 用語解説

メンタルヘルス

Mental Health

メンタルヘルスとは、日本語では一般に「精神健康」あるいは「心の健康」と訳される、個人の精神的な状態や適応能力、およびその状態が良好に保たれている度合いを指す概念である。世界保健機関(WHO)の定義によれば、メンタルヘルスとは、単に精神疾患や障害がない状態にとどまらず、個人が自身の能力を発揮でき、日々の生活における通常のストレスに対処でき、生産的かつ実りある労働を行い、地域社会に貢献できる状態を意味している。1 厚生労働省によれば、メンタルヘルスは身体的な健康と同様に、人間が社会生活を営む上で不可欠な要素であり、生涯を通じて個人の幸福感や生活の質(QOL)に大きな影響を及ぼすものである。2

近年の医学および精神医学、公衆衛生学の領域において、メンタルヘルスの不調や精神疾患は、決して特殊な個人にのみ生じるものではなく、誰しもが人生のいずれかの段階で直面しうる普遍的な課題として捉えられている。仕事や学業における過剰なストレス、人間関係の摩擦、経済的困難、あるいは身近な人物との死別などの環境要因が引き金となり、うつ病や不安障害、適応障害といった精神疾患へと進展する場合がある。日本国内においても、こうした精神障害や心身症を未然に防ぐための予防医学的なアプローチや、職場における労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度の導入など、社会全体での対策が法制化・推進されている。3

メンタルヘルスの維持および改善には、一次予防、二次予防、三次予防という段階的なアプローチが重要視される。一次予防はストレスの軽減や健康教育を通じて発症そのものを防ぐ「予防」であり、二次予防は定期健康診断やスクリーニング検査を活用して疾患を早期に発見し、適切な治療へと接続する「早期発見・早期治療」である。そして三次予防は、精神疾患を経験した患者が医療機関での薬物療法や精神療法を経て社会復帰を果たし、再発を防止するためのリハビリテーションや就労支援を行うものである。4

さらに、地域社会におけるメンタルヘルスケアとしては、保健所や精神保健福祉センターなどの公的機関が中心となり、住民を対象とした相談支援や普及啓発活動が行われている。医療機関における精神科や心療内科では、臨床心理士や公認心理師によるカウンセリング、精神科医による薬物治療など、多職種連携による包括的な支援体制が構築されている。このように、メンタルヘルスの概念は、個人の内面的な問題に留まらず、医学、心理学、福祉、労働環境の改善が一体となった、社会全体で取り組むべき重要な課題として位置づけられている。5

参考文献・出典

  1. 厚生労働省 e-ヘルスネット: https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-01-001.html ↩
  2. 厚生労働省 あへあえ: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/kokoro/index.html ↩
  3. 厚生労働省 職場のメンタルヘルス: https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/index.html ↩
  4. 厚生労働省 こころの耳: https://kokoro.mhlw.go.jp/about/ ↩
  5. 国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所: https://www.ncnp.go.jp/nimh/ ↩