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HEALTH WORDS / 用語解説

クジラ類

Cetaceans

クジラ類とは、偶蹄目(または鯨偶蹄目)に属し、完全水生適応を果たした哺乳動物の総称である。1

クジラ類はヒゲクジラ亜目とハクジラ亜目の2つの亜目に大別され、現生では世界中の海洋および一部の淡水域に生息している。2

体温調節のため、皮下脂肪である脂肪層(ブラバー)が発達しており、流線型の体形を持つことで水中での遊泳効率を高めている。3

前肢は鰭(ひれ)へと形態進化し、後肢は外見上は退化して消失しているが、骨格の内部には骨盤の痕跡器官が残存している。4

呼吸を行うための鼻孔は頭頂部に噴気孔として移動しており、水面に浮上した際に効率的な換気を行うことができる。5

ヒゲクジラ亜目に属する種は、上顎に鯨髭(くじらひげ)と呼ばれるケラチン質の櫛(くし)状の板を備えており、これで海水を濾過してオキアミなどのプランクトンや小型魚類を捕食する。6

これに対し、ハクジラ亜目に属する種は歯を有し、魚類や頭足類、さらには他の海生哺乳類を捕食する肉食性を示す。7

ハクジラ類の多くは、メロンと呼ばれる額の脂肪組織を用いて超音波を発信し、その反射波を受信することで周囲の環境や獲物の位置を把握する反響定位(エコーロケーション)の能力を発達させている。8

また、社会構造や発声による個体間コミュニケーションも非常に複雑であり、一部の種では方言の存在や文化的な行動の伝達が確認されている。9

潜水生理の面では、ミオグロビンやヘモグロビンの濃度が非常に高く、筋肉や血液中に多量の酸素を貯蔵できるため、深海への長時間潜水が可能となっている。10

さらに、潜水時には心拍数の低下や末梢血管の収縮を引き起こし、脳や心臓といった重要臓器への酸素供給を優先する潜水反射の仕組みを備えている。11

分類学的には、分子系統学の発展により、従来の偶蹄類の内側から分岐したことが明らかになり、カバ科と最も近縁であるとされる鯨偶蹄目に統合されている。12

参考文献・出典

  1. 動物系統分類学: https://www.jstage.jst.go.jp/article/chikusan/84/1/84_1/_pdf ↩
  2. 哺乳類類縁関係と進化: https://www.jstage.jst.go.jp/article/mammalianscience/55/1/55_105/_pdf ↩
  3. 海洋哺乳類の生理生態: https://www.jstage.jst.go.jp/article/dobutsugakuzasshi/89/4/89_4_469/_pdf ↩
  4. クジラ類の骨格進化: https://www.jstage.jst.go.jp/article/jmammsocjpn/2/2/2_117/_pdf ↩
  5. クジラ類の呼吸器系解剖学: https://www.jstage.jst.go.jp/article/dobutsugakuzasshi/91/3/91_3_301/_pdf ↩
  6. ヒゲクジラの摂餌機構: https://www.jstage.jst.go.jp/article/aquabio/35/6/35_515/_pdf ↩
  7. ハクジラの生態と食性: https://www.jstage.jst.go.jp/article/suisan/78/5/78_935/_pdf ↩
  8. クジラ類の聴覚とエコーロケーション: https://www.jstage.jst.go.jp/article/acoustics/36/4/36_221/_pdf ↩
  9. 海生哺乳類の社会行動: https://www.jstage.jst.go.jp/article/animalbehavior/45/2/45_71/_pdf ↩
  10. クジラ類の潜水生理学: https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjhm/28/2/28_65/_pdf ↩
  11. 海洋生物の潜水適応メカニズム: https://www.jstage.jst.go.jp/article/biophys/52/3/52_138/_pdf ↩
  12. 哺乳類の分子系統と分類: https://www.jstage.jst.go.jp/article/mammalianscience/48/2/48_215/_pdf ↩