HEALTH WORDS / 用語解説
スライ症候群
スライ症候群とは、ライソゾーム病の一つであり、グリコサミノグリカンの分解に必要な酵素であるベータ-グルクロニダーゼの遺伝子異常によって引き起こされる先天性の代謝異常症であるムコ多糖症第VII型(MPS VII)の別名である。1
本疾患は、常染色体劣性遺伝形式をとる極めて稀な疾患であり、原因遺伝子であるGUSB遺伝子の変異により、体内の様々な組織や細胞においてライソゾーム内にグリコサミノグリカンが蓄積することで多彩な臨床症状を呈する。1
臨床症状は患者によって発症時期や重症度が大きく異なり、出生直後から症状が現れる重症例から、小児期や成人期に発症する軽症例まで幅広いスペクトラムが存在する。1
代表的な身体的特徴としては、頭蓋顔面異常(いわゆるガーゴイル様顔貌)、角膜混濁、難聴、心疾患、肝脾腫、関節拘縮や骨異形成症などの骨格異常が挙げられる。1
また、中枢神経系の障害を伴うことが多く、発達遅滞や知的障害、水頭症などが進行性に現れる場合がある。1
診断においては、尿中におけるグリコサミノグリカン(デルマタン硫酸やヘパラン硫酸など)の排泄量増加を確認するスクリーニング検査が行われる。1
確定診断には、白血球や培養皮膚線維芽細胞を用いたベータ-グルクロニダーゼの酵素活性測定や、遺伝子検査による原因遺伝子変異の同定が行われる。1
治療法としては、不足している酵素を外部から投与する酵素補充療法や、根本的な治療を目指した造血幹細胞移植などが検討されることがあるが、中枢神経症状に対する効果には限界があるため、それぞれの症状に応じた対症療法やリハビリテーションが治療の中心となる。1
本疾患は厚生労働省が定める指定難病の対象となっており、医療費の助成制度や専門的な医療機関による総合的な支援体制が整備されている。1
小児慢性特定疾病の対象疾患でもあり、早期発見と早期治療介入、および患者とその家族に対する療育や福祉サービスの提供が極めて重要である。2