HEALTH WORDS / 用語解説
ナトリウム・ヨウ化物共輸送体
Sodium/iodide cotransporter
ナトリウム・ヨウ化物共輸送体とは、甲状腺の濾胞上皮細胞の基底膜に存在し、ナトリウムイオンとヨウ化物を細胞内へ取り込む膜タンパク質である。1 分子生物学的にはSLC5A5遺伝子によってコードされる糖タンパク質であり、ナトリウム-カリウムATPaseが形成するナトリウムの電気化学的勾配を駆動源として利用してヨウ化物を細胞内に能動輸送する。2
この輸送体は甲状腺ホルモンの合成に不可欠なヨウ素の取り込みを担うだけでなく、甲状腺以外にも乳腺、唾液腺、胃の粘膜、腎臓などの組織においても発現していることが確認されている。2 甲状腺においては、血中からのヨウ化物の濃縮を司る最初のステップであり、ヨードの取り込み効率は甲状腺機能の維持において中心的な役割を果たしている。1
臨床医学の領域においては、分化型甲状腺癌などの甲状腺腫瘍の診断および治療において極めて重要な標的となっている。2 多くの甲状腺癌細胞においても本タンパク質の発現が維持されているため、放射性ヨウ素(ヨウ素131など)を用いた内用療法やシンチグラフィ検査の際、放射性物質を癌巣に集積させるメカニズムとして利用されている。2 一方で、癌の悪性度が高まるにつれてその発現量や機能が低下し、放射性ヨウ素が取り込まれにくくなる「ヨウ素不応性」を示す場合があることも知られている。1