HEALTH WORDS / 用語解説
SLC5
Solute Carrier Family 5
SLC5とは、様々な基質をナトリウムイオンと共に細胞内へと輸送する共役輸送体(共輸送体)のファミリーを指す。1 人間のゲノムにおいては、SLC5遺伝子ファミリーとして複数の遺伝子がコードされており、膜タンパク質であるトランスポーターを形成する。2
SLC5ファミリーに属するタンパク質は、生体内における栄養素やヨウ素、ビタミンなどの能動輸送において中心的な役割を果たしている。1 特に小腸や腎臓などの上皮細胞において、電気化学的勾配を利用してグルコースやヨウ化物イオンなどを効率よく細胞内に取り込む機能を持つ。1
このファミリーの中で最も臨床医学的に重要な分子の一つがSGLT(ナトリウム・グルコース共輸送体)であり、SLC5A1(SGLT1)やSLC5A2(SGLT2)などが含まれる。1 SGLT1は小腸でのグルコースおよびガラクトースの吸収を担うほか、心臓や腎臓などにも発現している。3 一方、SGLT2は腎臓の近位尿細管に主に発現し、糸球体でろ過された原尿からのグルコースの大部分を再吸収する生理機能を持つ。3
近年では、このSGLT2の機能を阻害することで尿中への糖の排泄を促し、血糖値を下げるSGLT2阻害薬が2型糖尿病の治療薬として広く臨床応用されている。3 さらに、糖尿病治療の枠を超えて、心不全や慢性腎臓病の病態悪化を抑制する効果も確認されており、臓器保護の観点からも医学研究の重要な標的となっている。3
また、SLC5ファミリーにはグルコース輸送体以外にも多様な分子が存在する。1 例えば、SLC5A5はナトリウム・ヨウ化物共輸送体(NIS)であり、甲状腺濾胞上皮細胞の基底膜に局所発現して血中のヨウ素を細胞内へ取り込むことで、甲状腺ホルモンの合成に不可欠な役割を果たしている。4 このNISの機能異常や遺伝子変異は、先天性甲状腺機能低下症などの疾患を引き起こす原因となることが知られている。4
このように、SLC5ファミリーの各トランスポーターは、糖代謝やホルモン合成をはじめとする生体の恒常性維持に深く関与しており、薬理学および分子生物学の両面から継続的な研究が進められている。1
参考文献・出典
- Wikipedia: https://ja.wikipedia.org/wiki/SLC5 ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6
- Genenames.org: https://www.genenames.org/data/genegroup/#!/group/411 ↩
- Wikipedia: https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8A%E3%83%88%E3%83%AA%E3%82%A6%E3%83%A0%E3%83%BB%E3%82%B0%E3%83%AB%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%82%B9%E5%85%B1%E8%BC%B8%E9%80%81%E4%BD%93 ↩1 ↩2 ↩3 ↩4
- Wikipedia: https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8A%E3%83%88%E3%83%AA%E3%82%A6%E3%83%A0%E3%83%BB%E3%83%A8%E3%82%A6%E5%8C%96%E7%89%A9%E5%85%B1%E8%BC%B8%E9%80%81%E4%BD%93 ↩1 ↩2