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HEALTH WORDS / 用語解説

ヒストン様タンパク質

ヒストン様タンパク質とは、主に原核生物や古細菌の細胞質内において、DNAと結合してその構造をコンパクトに折りたたみ、クロマチン様構造の形成や遺伝子発現の調節に関与するタンパク質の総称である。1 真核生物が持つヒストンとは進化的な起源やアミノ酸配列において直接的な共通性を持たない場合が多いが、DNAを折りたたむという機能的な共通性からこのように通称されている。2

原核生物である大腸菌などの細菌においては、真核生物のような典型的なヌクレオソーム構造は存在しないが、そのゲノムDNAは高度に折りたたまれてヌクレオイドと呼ばれる構造体を形成している。3 このヌクレオイドの内部において、ヒストン様タンパク質はDNAの二重螺旋を曲げたり、架橋したり、あるいは巻きつけたりすることで、膨大な長さの遺伝情報を持つDNA分子を小さな細胞内へ効率的に収納する役割を果たしている。1

代表的なヒストン様タンパク質としては、大腸菌で見つかっているHUタンパク質、H-NSタンパク質、IHFタンパク質、FISタンパク質などが広く知られている。1 これらの分子は単なる構造支持体としての物理的なパッキング機能にとどまらず、特定のDNA配列や構造に結合して転写の活性化や抑制を行ったり、DNA複製や相同組換えなどの生体内反応を制御したりする動的な因子としても機能している。2

例えば、H-NSタンパク質は温度や浸透圧、pHなどの環境変化に応答して特定の遺伝子群の転写を抑制するサイレンシング作用を持ち、細菌が多様な環境ストレスに適応するための遺伝子発現ネットワークにおいて中心的な役割を担っている。2 また、HUタンパク質はほとんどすべての細菌に保存されている最も普遍的なヒストン様タンパク質のひとつであり、DNAのねじれや屈曲を誘導することによって様々なDNA結合タンパク質の作用を助けるアクセプターあるいはモジュレーターとして働く。1

古細菌の領域においては、真核生物のヒストンと一次構造や立体構造の面でより近い特徴を持つヒストン様タンパク質(あるいは古細菌ヒストン)が発見されており、これらは真核生物のヒストンの祖先型であると考えられている。2 古細菌のヒストンはホモ二量体やヘテロ二量体を形成し、それが基本単位となって真核生物のヌクレオソームに類似したDNA複合体を構築することが知られており、生命の進化の過程におけるゲノム収納システムの変遷を解明する上で重要な研究対象となっている。2

参考文献・出典

  1. J-GLOBAL 科学技術総合リンクセンター: https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=201002016335123992 ↩1 ↩2 ↩3 ↩4
  2. J-GLOBAL 科学技術総合リンクセンター: https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=200902030248408018 ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5
  3. 国立国会図書館インターネット資料収集事業: https://warp.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/11613149/www.brh.co.jp/seimeishi/journal/049/thought_01.html ↩